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コラム

2020年10月30日

「将棋は見るだけでも楽しい!」~本紙読者投稿より

幼い日。冬の夜長は家族でカルタ、双六などを楽しみました。

私の家族は将棋の駒を使った「五目並べ」や「盗人将棋」などで子供の相手をしてくれ、楽しかった。友達とも夢中で遊びました。

祖父は、父や叔父を相手に将棋を指すので、その都度見ているうちに、自分も駒の動きや指す場所などを覚え、やがて対戦相手にもしてもらいました。まさに将棋に夢中の時でした。

 

    ◇

 

昭和12年、日中戦争が始まり、父と叔父が相次いで戦地に行きました。将棋はそれきり忘れ去り、激しい戦争の時代となりました。

私も卒業と同時に女子挺身隊として軍需工場へ。弾が飛び交う中を生き抜きました。戦後は農家の長男と結婚して、農業と子育ての多忙な毎日を送りました。

数年して夫が囲碁を始め、だんだん夢中になり、同好会、碁会所へ。またテレビの碁番組は長時間でも暇を盗むという熱の上げ様でした。

私の野良仕事も重荷になり、ある日私は言いました。

「私だって子供の頃、家で度々将棋を指して楽しんだけれど、もう長いこと過ぎて駒の動かし方も忘れた」

と。数日後、その言葉が気にかかったのか、将棋の入門書を買ってきてくれました。

当時私は民謡会に入り、月2回、先生の教えを受け、仲間も多く、全国各地の唄と旅行を楽しんでいたので、買ってきてくれた本は、ついそのままとなりました。

 

    ◇

 

先日の昼、偶然テレビの将棋を見て、有名な高校生棋士が対戦していました。ニュースではたまに見ていましたが、対戦を見たのは初めてのこと。見ているうちに駒の動きも思い出し、夢中で見た一時でした。

テレビ観戦がこんなにも面白いことをはじめて知り、亡夫が、テレビ囲碁が始まると長く居座った気持ちがようやく分りました。

亡夫が私に「見なさい」と惹きつけたのか、盆の偶然か、相手が居なくても見るだけでも楽しいことを初めて知りました。

呆け始めた頭に駒が刺激になるかもと、今後の放映を楽しみにしています。(静岡県 S・O)

 

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