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コラム

2020年11月24日

「終戦75年の今、食品廃棄・食品ロス問題に思う」~本紙読者投稿より

終戦から75年。あのときのことを振り返る。

祖母の古い着物で作った上着とモンペは、18歳の頃の私の大事な通勤着。着替えなどなく、僅かな配給の石鹸を大事に使って、継ぎ接ぎまでして過ごしました。
冷蔵庫、扇風機は勿論なく、冷たい井戸水が最高の飲み物でした。
雑穀、とくに芋、大根で漁を増やしたご飯は傷みが早く、井戸に吊るしていました。味が少し変わってしまったら、煮返して食べ、捨てることなんて全くありませんでした。
配給の芋粉はパンにしました。真っ黒なパンでも、甘味に飢えていた私たちには甘くておいしく感じました。
現代では、食料・食材があまり、大量に捨てられていると知りました。あの当時とは比較にならない上質な食べ物を捨てるなんて。
昔、祖母は幼い私に、物を、とくにお米を大切にするよう教えてくれました。粗末にすると目が潰れると言われて育ちました。

今、高3の曾孫に、成人式の着物のパンフレットが送られてきます。その豪華さに驚き、これほどまでに二十歳を祝う意味を考えさせられます。
戦争中は、二十歳の男子は全員徴兵検査が義務となっており、否応なく兵隊としての訓練を受け、戦争となれば死を覚悟して家族と別れて軍隊に入ることが決められていました。それが当然と思っていました。
9年間の長い戦争の間、多数の戦死者が出て、兵員不足となり、16~18歳、今なら中高生が少年志願兵として集められ、私の同級生、知人も戦場に散りました。
同じ二十歳。惜しい命です。なんという違いかと。こんなことを知る人も少なくなってしまいました。

衣食住が満ち足りて、病気以外は何も心配することもない今。この平和が続くよう願いながらも、大事な食料を余れば捨てるとは、戦争に苦しんだ私にはつい勿体ないと感じます。(静岡県 S・O)

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