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コラム

2016年07月29日

熊本地震「その時私は」(後編)

熊本県・I・Y

 熊本を襲った想定外の地震。4月14日と、翌々日16日に本震に襲われた。まだまだ余震が心配され、夜は長男の車で近くの高校のグラウンドに駐車し、親子3人で車中泊となった……。

 

 翌日、家の中は長男の加勢でどうにか片付いたが、インフラすべてがOFFで食べ物もない。近くのスーパー、コンビニも被災して閉店。

仕方なく、まずご飯を作らねばと思い立ち、近所の空き地にブロックで応急のカマドを作り、火を焚き、自衛隊時代の野営訓練よろしく鍋に米、水を入れ、飯盒ならぬ鍋飯を作る。思ったよりもふっくらとしたご飯が出来て大満足。妻に見せびらかした。

 その瞬間、停電していた電気がパッとつく。冷蔵庫も稼働を始めた。有難い!

 しかし余震の不安は消えず。3日目、4日目とも夜は近くの空き地で車中泊であった。

 5日目には水が出るようになったが、食材店は未だ閉店のまま。その中でもある店が乾パン、菓子などを打っていたので、どうにか腹を満たす。

 19日の夜。5日ぶりに家の中の布団でぐっすりと眠る。20日の夜は妻が「余震が怖い」と言うので、数十年ぶりに同じ布団で添い寝する。妻は持病の為、通院が必要であったが、かかりつけの病院も被災して、あちこち転院を繰り返しての診察となったが、今は落ち着いている。

 

 初震以来1カ月余、震度1以上が1千4百回。震度3以上も35回、未だ終息の気配はない。死者49人、建物全壊2千840棟、避難者なお1万1千人。我が家の屋根もブルーシートを被ったまま。いつになったら元の平穏な暮らしに戻れるやら……。記・5月15日。

(文中のデータは投稿いただいた時点のものです)

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