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コラム

2016年08月08日

「悲惨極まる食糧難」~孫に語り継ぐ戦争体験

福島県 I・A

昭和19年盛夏。当時私は尾野本村外三ケ村の農業会(今の農協)職員として奉仕していました。1里半の道を徒歩で通っておりました。

 ある日の夕方、急いで歩みを進めていたところ、先の方に黒い物体が静かに歩いてくるのです。恐る恐る近づいてみると、ご婦人でした。命からがら大陸から引き揚げ途中、船の中で出産し、今日でわずか一週間目とのことでした。
 私は早速荷物を持ってあげて、母子共々抱きかかえるようにして、家に案内をしました。その日の夕食は南瓜がゆでしたが、食べていただきました。そして父母に許可を頂き、1里余り先の部落までお送りしました。その日のことは今でも忘れません。

 連続テレビ小説『すずらん』で観たのですが、野良に生えている野草も採りつくし、肯定の隅々から道路の空き地までもジャガイモを植えたり南瓜を這わせたり、あのような惨状は二度と味わいたくありません。
 今の飽食代の若者に、数えるくらいの米粒で作った雑炊を食べさせるという番組を放映していましたが、食糧不足になると皆、心が荒んできます。あのような惨めな体験はしたくありません。これからの次代を担う子供たちにはもっと良い暮らしをしていただきたいと思います。

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