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2017年12月14日

故郷の味を懐かしく思うのは世界共通/精進料理研究家・藤井まりさん(3)

日本人らしいおもてなしの心を大切に

藤井さんがご主人から受け継いだ精進料理の教室を開催する「不識庵」は、緑あふれる小高い山の中。海沿いを走る風情ある江ノ電(江ノ島電鉄)の稲村ケ崎駅から、坂をしばらく登ったところにあります。息を切らせて訪ねてきた方には、最初に「何はともあれ、まあ、お茶を一杯」。これがいつもの出迎え方です。

「禅語に”喫茶去”という言葉があるんですよ。お茶を飲むというごく当たり前の行為の中に真理がある。だから、日常を大切にしましょうという意味です。最近”おもてなし”と盛んに言われるけど、日本人には昔からそういう心が根付いているのよね」

前の記事「ひとつのお膳の中にさまざまな香りと風味を/精進料理研究家・藤井まりさん(2)」はこちら。

故郷の味を懐かしく思うのは世界共通ね

精進料理そのものにも、ここ数年あらためてスポットが当たっています。藤井さんは日本にとどまらず、ヨーロッパでも毎年講習会を開いていますが、海外では精進料理がどんな風に受け止められているのでしょう。

「興味をもつ方が増えていると実感しています。それは、根っこに人としての同じ感覚を持ってからではないでしょうか。例えば、出始めの旬の素材を尊ぶのもそう。今年ドイツに行っときは、ちょうどホワイトアスパラの季節で、みんながうれしそうに食べてるの。春が来たと思うのでしょう。日本人が早春にふきのとうを喜ぶのと同じです。あとはおふくろの味を忘れない感覚も同じですね」

ほっとする…。
「私たちもお母さんが作ったぬか漬けとか梅干しを食べるとうれしいじゃないですか」
藤井さんの愛娘・小牧さんも両親の心を継いで料理家に。東京・秋葉原の「こまきしょくどう」でカレーなどのカフェ風精進料理を出しているそうです。精進料理の輪はまだまだ広がりそうです。

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「不識庵」と書かれたあんどんに明かりを灯して、藤井さんが出迎えてくれます。

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なすの辛煮と里いものしらが炒め。

取材・構成・文/飯田充代 撮影/木下大造


藤井まり(ふじい・まり)さん

1947年北海道生まれ。神奈川県稲村ケ崎で「不識庵」を主宰。精進料理の指導にあたる。1992年には中国に留学。著書に『旬の禅ごはん』(誠文堂新光舎)ほか。


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