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2016年07月11日

膝の痛みに悩む68歳の女性

膝の痛みに悩む68歳の女性

68歳の女性です。数年前より、膝の痛みに悩んでいます。

始めは、朝起きたときに痛みを感じただけで、自然に治まったのですが、そのままにしていたら、日中も痛むようになりました。正座ができなくて、階段の上り下りも痛くて辛いです。

温シップを貼って、ウォーキングが良いと聞いたので、買い物へ行く時にもなるべく歩くようにしていたのですが、一向に良くなりません。

痛みがあっても、ウォーキングは、このまま続けた方が良いのでしょうか。それとも安静にしていた方が良いのでしょうか。

答え

変形性膝関節症か
水中ウォーキングで筋力アップを

膝に痛みがあり、リハビリのためにウォーキングをされても良くならないとのご相談ですが、高齢の女性に多い膝の痛みとしては、まず変形性膝関節症という病気が考えられます。

変形性膝関節症は、自分自身の体重を、長年膝の関節で支えることで、膝の周りの軟骨がすり減ったり、炎症が起きたりして痛みが発生するというものです。とくに閉経後の女性の場合には、骨がとても弱くなりますので、そのために膝の痛みが現れることが非常に多いです。

このとき、痛みを我慢したままウォーキングを続けると、さらに膝へ負担をかけてしまうことになるので、かえって逆効果になることもあります。ただ、筋力が落ちてしまうことは良くありませんので、何らかの方法で筋力トレーニングを行なうと良いでしょう。水中ウォーキングなどは、膝に負担をかけずに全身運動が行なえますのでおすすめです。

また、変形性膝関節症は体重の重い方に多い病気なので、肥満気味の場合にはダイエットも重要となります。膝が痛くて動くのが億劫になり、運動不足になって、さらに体重が増えます。するとますます膝が痛くなり動けなくなるという悪循環が非常に多く見られるのです。その意味でも、水中ウォーキングはおすすめですし、あとは食事にも注意をして、体重を落としてください。

あまり痛みが強い場合には、整形外科で痛み止めを出してもらったり、さらにひどい場合には関節に注射をして治療をすることもあります。また、関節の軟骨や骨に障害がある場合には、内視鏡による手術や、人工関節を入れる手術などの治療もありますので、痛みが強い場合には一度整形外科を受診してください。

万一、膝の関節だけではなく、全身の関節が痛むような場合でしたら、関節リウマチなどの膠原病も考えなければなりません。

関節リウマチは自分自身の体にある免疫機能が自分の関節を攻撃してしまい、炎症を起こすことで関節を破壊していってしまう病気です。そのため膝以外の間接にも症状がでて、朝に手がこわばったり、関節が腫れるのが特徴的です。そのような場合は、免疫を抑えるような薬、たとえばステロイドや、免疫抑制剤などが治療に使われます。

今回相談いただいた方は症状が膝に限局しており、可能性としては低いのですが、もし膝以外の関節にも症状がある場合には、リウマチでないかを調べることも必要です。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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