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2015年12月01日

「歯周病」は万病の原因に・健康寿命にも影響

shisyuubyou

歯の病気「歯周病」は多くの人が患い、20代以上のおよそ8割が、何らかの歯の異常を持っている、まさに国民病とも呼べる疾患である。単に口の中の問題だけに留まらず、全身の健康にも影響を及ぼすことが最近の研究で分かってきており、平均寿命と健康寿命の差、つまり不健康な期間を長くしてしまう大きな要因のひとつとなっている。先月は噛む力と筋力を保つための「ガムカムダンベル体操」を紹介したが、今月は健康寿命を延ばすべく、歯の大切さについてまとめてお伝えしよう。

本紙の読者であれば8020運動というものはよくご存知だろう。人の歯は、親知らずも入れると全部で32本あるが、そのうち20本が残っていれば、食事をしたりしゃべったり、日常緒生活を送る上での不自由をしないという、ひとつの基準である。健康寿命を延ばすためにも、80歳でなんとか20本の歯を残そう、という取り組みだ。

日本人の平均寿命は世界でもトップであるが、寝たきりや要介護の状態で長生きをしても仕方がないと誰もが思うところだろう。健康寿命と平均寿命との差、いわゆる不健康な期間というのは、男性がおよそ9年、女性ではおよそ12年というデータがある。不健康な理由は様々あるが、大きな要因のひとつとして歯周病が上げられる。歯周病により歯を失い、噛めなくなって食事を楽しめなくなるという事もあるが、それだけにとどまらず、歯周病を患うことは全身の健康にも悪影響を及ぼすということが分かってきているのだ。

まず、自分の口の中を鏡に映して、じっくりと観察していただきたい。健康な人の場合は、歯茎は綺麗なピンク色をしているはずだ。これが不健康な歯茎「歯肉炎」という状態になると、歯と歯茎の境目の部分が赤くなり、腫れて少し膨らんだ状態となる。これは歯茎に炎症が起きている証拠、歯周病だ。さらに歯周病が進むと「歯周炎」という状態になり、歯茎の腫れが顕著に現れる。歯茎は痩せ、歯と歯茎の境目が下がり歯の根っこの部分が露呈してしまう。そのまま放置するとぐらぐらして抜けてしまうのだ。

歯周病の原因は口の中にたまった食べかす、つまり歯垢である。歯垢は細菌の塊であり、この細菌同士が粘り気を出して固く結びついていて落ちにくく、なかなか死滅しない。きちんとしたブラッシングをしないと思考はたまる一方になる。さらに歯垢が唾液に含まれるカルシウム成分と結びつくと石灰化し、石のように固くなる。これが歯石と呼ばれるもので、こうなってしまうと通常のブラッシングでは落とすことはできず、歯医者に行き、専用の器具でこそぎ落としてもらうしかない。

この歯石を放置するとどんどん成長し、歯の根っこの方まで進行してゆき、やがて歯茎の内部にまで広がってゆく。歯石は細菌の塊なので、様々な毒素を持っているため、骨まで溶かしてしまうという。  歯垢は歯と歯茎の間の隙間「歯周ポケット」にたまりやすい。歯周ポケットは深さ3~5mmくらいもあり、すべての歯の歯周ポケットの表面積を合わせると、なんと手の平くらいの広さにもなるという。それだけ広い面積の粘膜が、常に毒素に触れている状態となる。手の平くらいの大きな擦り剥き傷に、常に毒を塗りこんでいるのと同じ状況だ。いかに不衛生で、体に悪影響を及ぼすかが想像いただけるだろう。 実際に、歯周病、および歯を失うことによる体への悪影響について、様々な実験が行なわれているという。いくつか紹介しよう。

まず歯の数と認知症の関係について。歯がほとんどなく、さらに義歯を使用していない人は、20本以上の歯がそろっている人と比較すると、認知症の発症率が最大で1.9倍にも高くなるという。しっかり噛んで食事をしないと認知症になりやすいということだ。

そして歯の数は転倒のリスクにも関係する。歯の数が少なく義歯を使用していない人は、20本以上の歯がそろっている人と比較して2.5倍も転倒のリスクが高くなるという。

また、歯周病菌は血液の流れに乗って全身に広がってゆくという。動脈硬化の原因となる血管内プラークの成分を調べたところ歯周病菌が発見された。この菌が原因で血管の中で炎症を起こして腫れを引き起こす。そして血液の流れを悪くするという。

そのほかにも歯周病菌がもたらす病気として、アレルギー、脳血管疾患、骨粗しょう症、肺炎、心疾患、糖尿病、腎炎、リュウマチ・関節炎、皮膚疾患、バージャ病、早期低体重児出産などが上げられるという。口の中だけの病気という認識はもう古く、まさに全身の病気であるといえるだろう。

ではここで、歯周病かどうかの指標となるチェックポイントを教えていただいたので紹介しよう。朝起きたときに口の中がネバネバする、口臭が気になる、歯茎がむずがゆい、歯茎から血が出る、歯が長くなったような気がする、前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間ができた(歯茎がやせた)などの症状に思い当たると、歯周病が疑われるという。

歯周病の治療、予防は、正しい歯磨きの仕方を習得することが一番大切だという。正しい歯ブラシの選び方や使い方も教えていただいた。

歯ブラシの持ち手はまっすぐなものを選び、毛束は3列くらいの大きすぎないものを選ぶと良い。毛の硬さは歯茎に歯ブラシを当てて、痛みがないものが良い。ブラッシングは歯だけではなく、歯茎もマッサージするように行なうため、硬すぎると歯茎を傷つけてしまう。逆にやわらかいと歯垢を十分に落とせない。

歯ブラシの握り方は柄の後ろの方を親指、人差し指、中指で軽く持つようにする。力が入りすぎると歯や歯茎を傷つけてしまう。磨くときには歯を一本一本意識して磨くこと。歯と歯茎の境目もきちんと磨く。歯間の広い人は歯間ブラシも使用すると良い。

「噛む」ということは健康寿命を延ばすため、要介護状態にならないようにするためにはとても重要なことである。脳の働きを活発にし、胃腸の働きも活発にし、食欲を増進させる。また噛むことで味覚も発達させ、食べ物をよりおいしく感じられるようになるという。歯周病は生活習慣病である。毎日自分の歯を意識して、しっかりと噛んで食事をすること。そしてしっかりとブラッシングを行なうこと。最後に教えていただいたのは「かかりつけの歯科医を持っている人は長生きする」ということ。少しでも口の中に違和感のある人は、一人で悩まずに近くの歯科医に相談をすることだ。

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