高齢者のための情報サイト【日本老友新聞】

老友新聞
ルーペ

ニュース

2019年01月30日

長生きできる人に多い性格とは? 100歳まで生きるために今から心がけたい生活習慣

2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、いずれも過去最高年齢を更新。また、全国の100歳以上の高齢者は、6万9,785人に上り、48年連続で過去最多となっています。ですが、100歳に達しても健康で元気に活動する人と、そうでない人とがいます。この差はなぜ起こるのでしょう?

「百寿者(100歳以上の人)」について、20年以上にわたり研究を続けている、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの新井康通先生にお伺いしました。

前の記事「健康長寿をおびやかす「慢性炎症」に注意。70代前半までは内臓脂肪を減らす努力を!」はこちら。

DHA、EPAで慢性炎症予防!定期的な運動も健康長寿の秘訣

残念ながら、慢性炎症を完全に抑えることはできません。だからこそ、いかに慢性炎症の進行を抑えるかが、元気で長生きのヒントです。

「慢性炎症の進行を抑えるには、食生活や運動など、日常生活を見直すことが第一歩です。85~99歳の人を対象とした研究では、青魚などに多く含まれるオメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)と、EPA(エイコサペンタエン酸)の摂取が多い人ほど、慢性炎症が少ないことが分かっています」と、新井先生。

DHAやEPAには、血管の老化や血栓を防ぐ作用があり、毎日摂取することで血液をサラサラにする効果を期待できます。また、百寿者は、若い頃から炭水化物やたんぱく質、脂質の三大栄養素をバランスよく摂取しているという共通点も見られました。特に、魚や野菜を多く食べてきた傾向があるそうですが、肉が長寿によくないという結論にはなりません。

「現在100歳以上の方が若い頃は、そもそも肉を多く食べる習慣がなかったので、肉食と健康寿命の関係を測るデータが十分ではありません。良質な筋肉を維持するためにも、肉類も積極的に食べることをおすすめします」(新井先生)。

新井先生らが行った85歳以上の人を対象にした調査では、身体活動が活発な人の方が長寿という結果も出ています。「85歳以上で自立した生活をしている人の場合、体を動かすこと、中でもウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを続けている人が多く見られました。75歳を超えたら、筋肉を落とさないことが健康長寿のカギです。自分なりに、楽しみながらできる運動習慣を見つけてください」(新井先生)。

60代までは生活習慣病を改善。前向きな精神も元気の秘訣

中高年期には、生活習慣病の管理も欠かせません。「60代までの高血圧は病気のリスクが高まる原因。生活習慣を見直す、正しい治療を行うなどして改善を。80歳以降は、合併症やフレイルの程度をみて個別に判断が必要です。また、肥満の方は体重コントロールをして内臓脂肪を減らしてください。血液循環が良くなり、慢性炎症の進行を抑制しやすくなります。他にも、中高年期に脂質異常症や慢性腎臓病がある人は注意が必要です。医師の指導を仰ぎましょう」(新井先生)。

百寿者には、性格的な傾向があることも分かっています。女性の場合、「誠実性」「外向性」「開放性」が高いことが共通点だそうです。誠実性とは、決めたことはきっちりとやり抜く意志の強さがあること。外向性は活動的、社交的で、いろいろな人とコミュニケーションをとれること。開放性とは、好奇心旺盛で新しいもの好きといった特徴があるそうです。

「百寿者に人生の幸せ度を尋ねると、いまがいちばん幸せと答える方も多いのです。こうした人生に対して前向きな精神も、100歳まで元気で生きられる重要な共通点の一つでしょう」(新井先生)。周りの人と信頼関係を保てている人の方が健康で長生きというデータもあります。友人との付き合いやボランティア、習い事など、社会活動も積極的に行いましょう。百寿者の生き方をヒントに、元気で長生きを目指しましょう。

慢性炎症の進行を抑えるには!

DHA、EPAの含有量が多い食材を積極的に食事に取り入れる

DHAやEPAには、血管の老化や血栓を防ぐ作用があると考えられています。青魚やマグロのトロ、ナッツ類、α-リノレン酸を多く含むえごまやごま、亜麻仁油などに多く含まれます。毎日摂取するのがおすすめ。

高血圧、糖尿病などの生活習慣病を予防・改善する

高血圧は慢性炎症を進行させるだけでなく、認知症や糖尿病など、さまざまな病気のリスクとなります。年齢を重ねるほど増える動脈硬化も万病の元。定期的に検査を受けるなどして予防しましょう。

運動の習慣や身体活動、体をこまめに動かす!

体をよく動かすことは、健康長寿に欠かせません。ウォーキングのような有酸素運動はもちろん、家の中でストレッチをする、一駅先まで歩く、駅の階段を上り下りするなど、体をこまめに動かすことも有効。

60代までは肥満対策、70代からはフレイル対策を

60代までは肥満にならないよう、食べる量や食べ方、食事内容などの工夫が大切です。個人差はありますが、70代になったら筋力を落とさない方が重要。少し多いくらいの量の食事で筋力維持に努めましょう。

友人関係、ボランティア、仕事。社会とのつながりは一生続ける

「社会に対して役に立っている」と自分が実感できることや、「周囲の人と信頼関係がある」と感じることは、健康長寿の秘訣の一つ。地域の集いやボランティア、友人との集まりなどには、積極的に参加を。

取材・文/笑(寳田真由美)


<教えてくれた人>
新井康通(あらい・やすみち)先生

慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター総合診療科講師。専門は、百寿者・超百寿者(105歳以上)の研究、超高齢者(85歳以上)の生活習慣調査。


【関連記事】

この記事は『毎日が発見ネット』に掲載の情報です。

この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。

高齢者に忍び寄るフレイル問題 特集ページ
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
  • トップへ戻る ホームへ戻る