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2019年02月25日

ただの風邪と思い込んでは危険! 60代からの女性に多い「気管支拡張症」をセルフチェック

風邪のときに発熱は治っても、咳や痰が長引くことがありますね。咳止めなどの薬を服用して3週間以上も治らないことも。そのまま放置していると大変なことになってしまうかもしれません。肺と気管支の不調を防ぐために気を付けるべきことを日本医科大学 呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞先生にお聞きしました。

長引く咳を風邪と思い込むのは危険!

一般的に高齢になると抵抗力が低下するため「風邪が治りにくい」と思われがち。しかし、鼻腔から喉頭までの炎症がさらに気管支にも及ぶ急性気管支炎や、風邪以外の怖い病気が潜んでいることもあるので注意が必要です。

「咳や痰が続くときには、気管支に炎症が起こることが関係します。その原因は気管支ぜんそくや慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺がんなど多岐にわたります。長引く咳や痰の症状を風邪と思い込んではいけません」と木田厚瑞先生は話します。

セルフチェック!あなたの「肺と気管支」は大丈夫?

□咳で眠れない、途中で目が覚める
□話をしようとすると、咳が出てしまうことがある
□咳が出る状態が3週間くらい続いている
□風邪薬や咳止めを飲んでも改善しない
□しばしば、痰が出る、痰に血が混じる(血痰)
□息苦しいことがある
□最近、風邪をひいて熱が出た

当てはまるものが多いほど、肺や気管支に異常がある可能性が高いです。早めに呼吸器内科を受診しましょう。

「肺機能検査」とはどのようなことをするの?

息を吸ったり吐いたりする量や、酸素を取り込む量などを測定します。ぜんそくなど肺の病気が疑われる場合には、スパイロメーターという医療機器による検査が広く行われています。 他にもさまざまな検査方法があります。

60代からの女性に多い「気管支拡張症」に注意

ぜんそくはアレルギー反応などで気管支に慢性の炎症が起こり、気道が一時的に狭くなって呼吸困難を起こしやすくなります。また、風邪をきっかけに悪化することが多くなります。また、COPDは肺の構造が壊れて気管支が細くなり、機能が低下して息切れや呼吸困難に。いずれも咳や痰の症状を伴います。

「近年、60代以降の女性に増えている病気の一つに、気管支拡張症があります。気管支の構造の一部が病的に拡張し壊れることで感染症を起こしやすく、治りにくい状態につながるため、早めに医療機関の受診を」風邪をきっかけに気管支拡張症が悪化し、肺の機能の低下が進むことがあるのでご用心を。

急性気管支炎と気管支拡張症

【急性気管支炎】
・鼻腔から喉頭までの炎症がさらに気管支に波及。咳、痰が多い。
・発熱、食欲不振、全身倦怠感の他、胸の不快感など
・原因は、かぜ症候群と同様にウイルスによるものが多い

【気管支拡張症】
・気管支の一部が病的に広がってしまい拡張部分が細菌感染を起こしやすくなる
・咳、痰、血痰、喀血が多い
・肺炎を起こしやすい
・詳しい原因は不明だが、先天的なもの、幼少時期や成人になってからの重症肺炎など
・近年、症例が増加。特に私たち世代に多い

次の記事「長引く咳や痰の放置は厳禁! 肺にも炎症が及び「肺炎」にも」はこちら。

取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史


<教えてくれた人>
日本医科大学 呼吸ケアクリニック所長
木田厚瑞(きだ・こうずい)先生

金沢大学医学部卒。 同大大学院修了。カナダ留学などを経て、2003年より現職。同年より日本医科大学呼吸器内科教授兼任後、18年まで同特任教授。COPDなど呼吸器の病気の診断・治療の第一人者。


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