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2019年05月16日

高齢者が罹りやすい「目の病気」

「五感」という言葉通り、人は視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の5つの感覚によって周囲からの情報を得ているが、そのうちおよそ8割から9割の情報は視覚からの情報と言われている。目の重要性は語らずともお分かりだろうが、高齢になると様々な目の病気に気をつけなければならない。今月は高齢者がかかりやすい目の病気についてお伝えしよう。

老眼はなんと40代中頃から進行!?

近頃「目が疲れやすい」「目がかすむ」「見にくい」などの症状が現れていないだろうか。このような症状に、日常的に悩まされていたとしても「歳だから仕方がない」と諦めてしまっている人も多いかもしれない。しかし中には、そのまま放置していると失明にも繋がってしまう目の病気が隠れていることもある。視力が著しく低下したり失明してしまったりすれば、それこそ生活の質は大きく低下してしまう。放置せずに、しっかりと診断をつけて治療を行なうことが大切である。
高齢者に多い目の症状・病気には様々ある。一つ一つ、症状の例とあわせて説明しよう。

老眼

老眼は近くのものを見る際にピントが合わせにくくなる症状が現れるもので、病気ではなく、いわば目の加齢現象である。年をとると筋力が衰えるのと同じように、目も衰えるのだ。個人差はあるが、老眼は40代中頃から少しずつ症状が現れ始め、徐々に進行し、見えにくさのために疲れ、肩こりなどが誘発されることもある。
治療はとくに行なわずに、老眼鏡を利用することが多いが、最近では遠近両用のレンズを、ピントを合わせにくくなった水晶体の代わりに埋め込む手術や、片方の目を遠くにピントが合うように、もう片方の目を近くにピントが合うように調整するレーシック手術なども行われている。

飛蚊症

目の前を小さな黒い影が動いて見える症状で、蚊が飛んでいるように見えることから「飛蚊症」と呼ばれる。我々の眼球の中には硝子体と呼ばれるゼリー状の物質が満たされている。加齢によって、そのゼリー状の硝子体が眼球の奥の網膜から部分的にはく離し、その部分が小さな黒い影となって見える現象である。殆どの場合は放置しても問題ないが、ときに他の病気が原因で似たような症状が現れる場合もある。ある日突然、急に飛蚊症の症状が悪化したりした場合には、一度眼科で検査をしてもらうとよい。

白内障

白内障とは、カメラのレンズの役割をしている水晶体が、怪我や加齢などによって白濁してしまう病気で、加齢によるものは50代くらいから症状が現れることが多い。初期の白内障の場合、水晶体が部分的に白濁するために、入ってくる光が水晶体の中で乱反射を起こし「光がまぶしい」と感じることが多い。水晶体全体が白濁してしまう程病状が進行した場合には、視野全体がかすんだり、光を感じる網膜に光が届かなくなり視力が低下、さらに進行すると失明してしまう可能性もある。
白内障が初期の場合、目薬や飲み薬などで症状を抑える、進行を遅らせる処置を行うこともあるが、現在ほとんどの場合は手術による治療を行なう。目に、ほんの数ミリ程度の小さな穴を開け、そこから白濁してしまった水晶体を崩しながら吸い出してしまい、その代わりに人工レンズを埋め込む手術である。重症の場合で無い限り局所麻酔のみで行い、片方の目ならば日帰りで行える手術である。手術後も痛みもほとんど無いという。

緑内障

緑内障は日本での失明原因の第一位となっている病気である。
房水とは眼球内を循環する液体である。この房水は眼球に入ってくるもの、外へ排出されるものとの循環のバランスがとられており、眼球内は常に一定の圧力が保たれている。緑内障とは、何らかの原因でこのバランスが崩れ、通常よりも眼圧が高くなってしまうと、視神経が障害を受けて、視野の中に見えない場所(暗点)ができてしまったり、視野が徐々に狭まってしまったりする病気である。
緑内障を治療せずに放置していると視野はどんどん狭くなり、やがて失明をしてしまうため、初期の段階から治療を行なうのが重要である。しかし問題なのは、初期の段階で症状に気づかないことが多いのだ。緑内障の症状はゆっくりと進行するために気づきにくく、さらに目は2つあるため、一方の目が正常ならば、もう一方の目が見えにくくなったとしても「見えている」と知覚してしまうのだ。そのため眼圧や眼底検査などによる健診を受けることが重要なのだ。
緑内障の治療は眼圧をさげることである。点眼薬や飲み薬によって眼圧を下げたり、レーザーによる治療で房水の流れを変えたり、房水の排出を促進させたりして眼圧を下げてやる。

加齢黄斑変性症

加齢黄斑変性症は、カメラのフィルムの部分に相当する網膜の中心部分である黄斑に障害が発生して、視野に見えにくい部分が出来たり視力が低下してしまう病気である。
黄斑は網膜の中心部分であり、ものを見る上では最も大切な部分であるため、この黄斑が障害を受けてしまうとQOLが大きく低下してしまうので厄介な病気なのだ。
加齢黄斑変性症は、網膜が腫れたり、網膜の下に液体がたまったりすることで網膜がゆがんでしまうため、正常な見え方(写真1)と比べて視野がゆがんでしまう(写真2)。さらに症状が進むと、視野の中心付近が見えなくなってしまい(写真3)、文字が読めなくなったり、車の運転なども出来なくなってしまう。そして視力も徐々に低下してゆき、やがて失明してしまう。場合によっては網膜の下で大出血が起こり、急に視力を失ってしまうこともある。加齢黄斑変性症には2種類あり、「萎縮型」と呼ばれる場合には、残念ながら有効な治療方法はない。しかしもう一方の「滲出型」と呼ばれる場合には薬物やレーザーによる治療が行われる。

以上のように、加齢による目の病気は様々で、その症状や治療法も多岐にわたる。見え方がおかしい、視力が落ちたという違和感がある場合には、早めに眼科で検査を行い原因を特定することが重要である。また、くり返しになるが、初期の段階では症状が現れにくい病気もあるため、定期的に目の健診を行うことも大切である。(老友新聞社)

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