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2020年06月01日

5月は無審査が4作品。|皇寿書壇2020年5月入選作品

4月は無審査4作品が選ばれました(編集部)

無審査

藤田 貢外

チョ遂良の楷行中間の体で簡朴で古厚感ある渋い変化の多い名作である哀冊を臨書して下さいました。「月」字の一画目の線などは、えぐるようにふくらみを付けられたならばより意を据えた作となったことでしょう。
書譜の臨書作は良く形臨されておりますが、「緜・遠・名」字などは太線の箇所をより強調され書かれたならば、原帖の意を捉え見映えするものと思います。
自運書の「緑竹…」と書かれました作は、肩の力を抜いてさらっと送筆し一枚仕上げた感があり清雅な趣があります。もう一点は、筆がよく立ち流麗な筆致で律動感ある線質にて五文字を健勁に仕上げております。

栗野 孤舟

良質な手漉紙と黒々した墨が合致し、白黒のコントラストが良く強靭な筆力から産み出された潤渇の変化の妙と、大胆に送筆しながらも字形ゆるぎなく秀勁なる線条は、いつもながら誠に見事です。

塚田 濤石

楷書作は安定した送筆で、整斉なる字形は清雅で筆圧の加減により薄墨が重なり溜った箇所が色濃く、それが語句の霜のようにも感じ厳しい寒さを表わしているかのようで文学表現された作です。
草書作は、楷書作とはまったく違う表現で、自在な筆の開閉によりくずされた字形がおもしろく韻致の高さを感じます。

久米 恵泉

「不一…」と書して下さいました行書の自運書作は、筆力充分にに大きく伸びやかに筆を進めておりますが、一行目の三文字の横線がほぼ同じ角度で右肩上がりに書きすぎて文字が傾いてしまったことが欠点となっておりますのでご留意下さい。
草書の六文字作は筆勢を有し気宇大きく筆順に迷うことなく筆脈をよく通し独自の趣があり生気溢れる線条の伸びやかさに感服いたします。

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