趣味
2024年01月11日
「美しき名月いでぬ通る人に声かけたれど皆黙し行く」2024年1月入選作品|老友歌壇
老友新聞2024年1月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)
一 席
美しき名月いでぬ通る人に声かけたれど皆黙(もだ)し行く
多田 シズモ
名月の歌。「皆黙し行く」が秀逸です。この言葉に読者は想像をかきたてられます。小劇場で無言劇を観ているような気にさせられました。詠われている季節は違いますが、与謝野晶子の次の歌を思いだしました。
清水(きよみず)へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき
与謝野晶子
二 席
立冬の何というなき暖かさ保育園児の徒競走見ゆ
下畑 博明
まだ暖かい立冬のイメージが、「保育園児の徒競走」という事実に見事に繋がりました。「何というなき暖かさ」という柔らかい表現も成功しています。
三 席
俺二本妻は一本杖ついてあきれて笑うこれも幸せ
小林 良一
結句「これも幸せ」が、ご夫婦の長い歴史を感じさせます。「共白髪」という言葉そのもののような一首です。
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