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医療と健康

2021年04月05日

超音波検査で「大動脈瘤の疑い」…どんな手術をするの?

検診で大動脈瘤の疑い…手術になりますか?

64歳の男性です。先日、健康診断を受けたのですが、お腹の超音波の検査で大動脈瘤の疑いがあると指摘されました。
今はまだ小さいので、半年後にもう一度詳しく検査をして、経過を見ればよいとのことでしたが、ある程度の大きさになれば、手術が必要だと説明されました。
大動脈瘤とはどのような病気なのでしょうか。普段、どのようなことに気をつければよいでしょうか。また、もし大きくなってしまったら、どのような手術をしなければならないのでしょうか。教えてください。

答え

血圧コントロールが大切。大きくなった場合は手術検討を

今回は健康診断の腹部超音波検査で大動脈瘤を指摘された方からのご相談です。腹部の動脈瘤ですので、病名としては腹部大動脈瘤といい、半年後にもう一度検査をして経過をみようという医師のご判断ですから、緊急性は少ないと思います。

私たちの身体をめぐる血液は、ポンプの役割をする心臓から、いくつも枝分かれをした血管を通って全身に送り出されるわけですが、枝分かれをする前の一番太い動脈部分を大動脈といいます。心臓から出てすぐの部分が胸部大動脈で、そこから少し下に行き、お腹に入った部分を腹部大動脈といいます。
大動脈は、通常1.5~2cmくらいの太さですが、高齢化や動脈硬化などで血管の壁も弱くなり、そこへ高血圧などで血管内部に圧力がかかったりすると、その部分の血管が風船のように膨らんでしまいます。このような現象を大動脈瘤といいます。少し膨らんでいるだけなら問題ないのですが、膨らみすぎて、何かのきっかけで破裂してしまうと命にかかわります。
動脈瘤は時間が経つにつれ少しずつ大きくなっていくことが多いので、定期的にCT検査などで瘤の大きさを見ていく必要があります。あまり大きくなると破裂の危険があるため、手術をしなければなりません。
ただ、その時の状況や患者さんの年齢などによって、手術をした方が良いのか、別の対処をするのかを判断しなければなりません。手術は通常、瘤ができている部分を切除して人工の血管に置き換える、人工血管置換術になります。腹部大動脈瘤の手術は、胸部大動脈瘤の手術と比較してリスクは少なく、比較的安全に行うことができますが、患者さんがご高齢で、体力的にも手術に耐えられない場合などもあります。そこで最近では、血管カテーテルでステントグラフトと呼ばれるものを埋め込む治療法も行われるようになっています。

ステントグラフトとは、人工血管にステントと呼ばれるバネ状の金属を取り付けたものです。ステントは聞いた方もいると思いますが、もともと心臓の狭心症や心筋梗塞の治療で使われていたものです。動脈硬化で血管が細くなり、詰まってしまうような場合に、カテーテルを血管の中に挿入し、そこから血管の細くなった部分に、ステントと呼ばれる金属の網目状の筒を入れ、それを支えにして血管を広げておくようにする手術です。
腹部大動脈瘤の治療では、このステントと人工血管を合わせたステントグラフトをカテーテルで病変部分に留置します。ステントグラフトを挿入することで、それ以上圧力がかかっても瘤が大きくならないよう、ステントグラフトが支えになるのです。ステントグラフトは足の付け根の動脈からカテーテルで挿入するので、お腹を切開する必要がなく、身体への負担がすくないため、ご高齢の方には負担を少なく治療を出来る可能性があります。

このような大変な治療を行わなかったとしても、動脈瘤は血圧と関係していることが多いので、やはり血圧のコントロールがとても大切です。もし血圧が高めであるなら、場合によっては投薬治療で血圧を下げることで、大動脈瘤の進行速度を抑えることが出来ます。そのうえで、定期的な検査で経過観察をし、今以上大きくならないようであれば無理に手術をする必要はありません。もし5~6cm程に大きくなってしまった場合には、手術をするか、ステントグラフト治療を行うか、主治医の先生と検討すれば良いでしょう。

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高谷 典秀 医師
  • 医療法人社団同友会 理事長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック健診協会 理事

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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