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2019年12月16日

「塵と芥の 流れる川よ 鮒も メダカも 友もいた」2019年12月入選作品|老友都々逸

老友新聞2019年12月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)

天の位

塵と芥の 流れる川よ
鮒も メダカも 友もいた

岡本 政子

「よ」は対象(=川)への愛惜(あいせき)。過ぎ去った者達、失ったもの達への美しい挽歌が哀しい。

地の位

畠の中から 一銭銅貨
磨く昭和の 泥と錆

大石 志津江

地中から掘り出した物は人を驚かせる力があるよう。まして天下の通用金。

人の位

惚れて悪けりゃ 見せずにおくれ
俺を惚れさす あの仕種

黒木 弘

昔の都々逸には己の鼻下長(びかちょう)ぶりを詠んだものがよくあった。

十 客

試着室から 出て来た女房
目と目合わせて 大笑い

王田 佗介

買う気があるからの試着なのに、テレも交えての夫婦一緒の大笑い。若向き過ぎたのかしら?

平和ゆるがす 改憲論が
じわわじわじわ もちあがる

岸 慶子

「じわわじわじわ」に不気味さがよく現れています。

妻の手料理 笑顔のお酌
徳利お猪口で さし向かい

惣野代 英子

リズムに都々逸大好き感が表れています。

母の一生 定年制も
無くて 野良着の丸い背な

飛田 芳野

農に定年が無いように「人生」にも定年は無し。されど御母上には停年を捧げたいのですね。

稲に寄り沿い 田の畦長く
豊作喜ぶ 彼岸花

向井 智恵子

まるで人間のように畦道が稲に寄り添い、彼岸花が豊作を喜んでくれているのですね。

北極南極 氷が溶けて
白熊 哀れな 温暖化

鈴木 とく

日毎に足許が崩れていくとしたら、あなたなら…?

季節忘れず 真っ赤に染める
粋な名前の 曼珠沙華

高木 まつ

「赤い花なら曼珠沙華」と昔の作詞家も歌い上げましたね。異国情緒を感じさせ、別名、彼岸花ですね。

薩摩藩主の 由来を継いで
子孫へ 櫓の字を繋ぐ(つな)ぐ

櫓木 香代子

ご苗字の一字、歴史と誇りのある「櫓(やぐら)」を使って良い作品に仕立てましたね。

東京ブギウギ 明るいリズム
戦後の辛(つら)さを 超えてきた

天野 照華

ブギの女王と呼ばれた笠置シズ子の大口の笑顔が、日本を威圧した進駐軍でもジープでも呑み込んで呉れました。

両手突き上げ 目ざめの呼吸
今日の体力 ここで知る

岩崎 ますゑ

一日の始まり。ご自分への鼓舞、励ましですね。

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