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2016年12月12日

2016年11月入選作品|老友歌壇

一 席

遠くよりアイスキャンディー売る声が聞こえて子等は駆けだしていく

高木 富貴子

アイスキャンディ売りの声に駆けだしていく子供達。シンプルな表現ながら、夏の風景が立ち上がってきます。

二 席

肩たたき券引き出しに見つけたり三十年前の孫の字幼し

宮本 ふみ子

懐かしいといった言葉を使わず、懐かしさや愛おしさが十分表現されています。

三 席

スイスイと仕事場まわるオニヤンマ青い目残して知らぬ間に消ゆ

勝亦 ふさ子

とんぼがそこに「青い目残して」飛んで行った。秀逸な表現で、秋の穏やかな風景を感じさせます。

佳作秀歌

カタカタとフイルムを送る音立てしモノクロ映画の映写機遠し

福田 浩明

結句「懐かし」を一例として「遠し」に。ありがちな言葉を他の言葉に置き換える事で歌が変わります。参考にしてみて下さい。

「ありがとう」と日に幾たびも口にして四世代の末座に恙なく老ゆ

仲野 まつ乃

お嫁さんや他の家族に感謝する気持ちが、健やかに生活できる秘訣なのでしょうね。

ようやくに少し涼しき夕まぐれ庭木に水やる足曳きながら

塩谷 千鶴子

足を悪くされていても、水を待っているお庭の木を放っておけない作者でしょう。

戦友も同級生も皆逝きて残れる友の幸祈るのみ

横山 一雄

「九十九歳の呆老人」なんてお書きですが、全くそんな事ありませんよ。若々しいです。

平和願う終戦記念日に砲声の地響き止まぬ富士演習場

勝亦 はる江

日本への戦争の脅威を感じる事例も多くなりました。世界の平和を祈り続けたいものです。

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