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2020年03月06日

「スーパーの買い物広げあれもこれも足りぬと妻亡き大晦日の夜」2020年3月入選作品|老友歌壇

老友新聞2020年3月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)

一 席

スーパーの買い物広げあれもこれも足りぬと妻亡き大晦日の夜

金澤 忠男

年末年始の準備は大方奥様がされていたのでしょう。改めて湧き上がってくる悲しみが、「あれもこれも足りぬ」に凝縮されています。

二 席

五年振りにこの手で張った障子戸に初春の朝ほのぼの明けゆく

阿部 サウ

ご自分で張った真新しい障子が、だんだん明るく染まっていく様子。誇らしく清々しい気持ちがよく表れています。

三 席

物置のじゃがいも大小ことごとく芽を出し絡む立春過ぎて

岸 慶子

実景をさらりと詠いました。「春を待つ」と直接言わずとも春を待つ気持ちが読者に伝わります。

佳作秀歌

寒き日の縁側ぬくしああぬくしぬくしぬくしで一日暮らす

岡本 政子

「ぬくし」を繰り返す事で、その日の寒さがより強調されました。楽しくなる一首です。

一枡をあけて障子を張るおみな猫一匹の存在のため

荻野 俊徳

猫がその人の大切な家族である事が「存在」という少し硬い言葉で表現されています。

人影のなき杜(もり)にふと風立ちて春まつ前の静かさにおり

山岸 とし子

静かな神社の木立にふっと吹いた風。それが作者に春を予感させたのでしょう。

走る人応援の人切れ目なく過疎地主催のマラソン熱し

小林 良一

過疎地でのマラソン大会。その日だけ大勢の人で賑わい次の日には誰もいなくなる事に複雑な心境の作者でしょうか。

すこやかな卒寿米寿の宝船大海原に帆を揚げて発つ

清水 邦子

「挨拶歌」と呼べるお正月らしいおめでたい一首です。

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