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医療と健康

2020年08月07日

むせやすい人は「誤嚥性肺炎」にご注意を!

食事の際、しょっちゅうむせている主人が心配…

72歳になる私の主人について相談です。

主人は食事をすると、毎回食べ物を喉に詰まらせてむせています。いつも食べる前に注意をするのですが、それでもむせて、顔が赤くなるほど激しく咳き込むのです。

本人は食べ物を飲み込みにくいといいますので、喉に異常がないか、医者に診てもらうように言うのですが、なかなかききません。

年をとるとむせやすくなるといいますので、病気ではないのでしょうか。このまま放置しても良いものでしょうか、教えてください。

答え

年をとると嚥下機能も低下します。

今回は食事の際によくむせるとお悩みの方からのご相談です。あなたがおっしゃるように、確かに年をとるとむせやすくなります。

口というのは、呼吸をすることと食事をすることの2つの機能を担っております。息を吸う時には、口や鼻から吸った空気が気道を通るようになっており、食事や水を飲み込んだときには、気管に蓋が閉まり、食道側へ行くようになっています。人間の身体はうまくできており、これらは神経の調整によって意識をしなくても自然に行われるものなのです。

ですが、年をとると運動機能が低下をしてきます。歩くのも遅くなりますし、反射スピードも落ちたりします。そういった老化現象のひとつとして、飲み込んだときに気管に蓋をする機能も衰えてしまうわけです。そうすると、誤嚥と言って、飲み込んだものの一部が気管に入ってしまうことがあります。食べ物などが気管に入りますと、咳嗽反射(がいそうはんしゃ)といって、咳をして異物を吐き出そうとします。そのためゴホゴホと咳をして、むせるというわけです。さらに運動機能が低下すると、むせる反射さえも起きなくなり、唾液や食べたものが知らぬ間に気管の方へ入っているという恐れもあるのです。

一番怖いのは、誤嚥が多くなりますと細菌が入り込み、それが原因で肺炎を起こしてしまいます。これを誤嚥性肺炎といいますが、高齢者に大変多い病気で、高齢者の死亡原因の大きな割合を占めているのです。

このむせやすさを治すというのは、なかなか難しいものです。機能の低下というのは加齢と共に避けられないものですので、むせにくくするような生活習慣を心がけることが大切になってきます。

たとえば、食事をするときもあまり急いで食べないとか、食事の後にすぐ横になる癖がある場合は、知らぬ間に食道から胃酸が逆流して気道に入ったりしますので避けてください。また口腔内を清潔に保ち、細菌の繁殖を抑えることも大切です。さらに誤嚥がひどい人などは、食べ物をゼリー状にしたり、とろみをつけたりするとむせにくくなります。

もうひとつ、健康診断を受ける際に、胃のバリウム検査というものがあります。これはバリウムという造影剤を飲み、胃を映し出していくものなのですが、ご高齢になればなるほど、バリウムを誤嚥して、肺へ入ってしまうこともあるのです。少量ならば大概大丈夫ですが、大量のバリウムを誤嚥すると肺炎になったりもします。そのため誤嚥の多い人の場合には、無理にバリウム検査をするのではなく、胃内視鏡にて検査をする方が良いでしょう。

以上のように、むせやすい人は肺炎になりやすいので、とくにこの寒い時期、熱が出たような場合は、肺炎を起こしているといけませんので、早めに医療機関を受診し、胸部X線撮影でチェックをしてみることも重要です。

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高谷 典秀 医師
  • 医療法人社団同友会 理事長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック健診協会 理事

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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