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2016年02月10日

空咳が10年近く続く

空咳が10年近く続く

99歳の女性です。空咳の連続が、10年近く続いておりまして、お手紙をいたしました。

もう、歳ですので、体力もなくなり、咳が続くと辛いです。食事の最中にも咳が出ることがあり、むせてしまうこともあります。

喫煙歴は無く、痰が絡むという事もありません。

お医者様に診ていただいたところ、私は歳の割には唾液が多く、それが喉にたまって、咳が出るのかもしれないとのお話でした。お薬をいただいているのですが、あまり効果がありません。

ほかに考えられる原因はありますでしょうか。歳なので、仕方がないのでしょうか。また、咳が楽になる方法があれば、教えてください。

答え

適切な薬で治療を 肺繊維症など様々な要因

空咳が10年近くも続いているという事ですが、考えられる原因は様々です。

まず考えられるのは喘息です。高齢になってから初めて喘息にかかるというのは稀なのですが、可能性の一つとしてあげられます。また、肺の組織が壊れて繊維状になり、硬くなってしまう肺繊維症や、間質性肺炎なども空咳が主な症状です。これらは肺機能検査や、CT検査などをして調べる必要があります。

そして、家の中のカビや、ハウスダストなどが原因となるアレルギー反応の可能性もあります。これは採血をして、アレルギーのチェックをすることで検査をすることができます。

他にも、逆流性食道炎というものもあります。寝ている間に、胃酸が喉の方へと上がってきて咳き込みます。朝方に咳がひどかったり、胸焼けなどの症状がある場合は、逆流性食道炎が疑われますので、胃酸を抑える薬を飲んだり、寝るときには上半身を斜めに起こせるようなベッドを使ったり、そういった工夫をすると良いでしょう。

今、かかられている医師の診断では、唾液が多く、喉にたまり、それが刺激になって咳が出るということです。そのお話だけで推察すると、高齢者に多い誤嚥性肺炎も考えられるのですが、誤嚥性肺炎は急性の病気で、熱が出たり、痰が出るなどの症状が現れるものなので、10年以上空咳が続き、痰は出ないというあなたの症状には当てはまりません。

いずれにしましても、咳を沈めるためには、それぞれの原因に合った対処をしなければなりません。現在服用しているお薬が、一般的な咳止め薬であれば、根本的な原因を解消できるわけではありませんので、効果的ではありません。一度、呼吸器内科を受診して、これらの可能性について詳しく調べてもらい、適切な薬で治療を進めると良いでしょう。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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