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医療と健康

2022年02月01日

お酒と健康(1)アルコールとの正しい付き合い方について

今年も早いもので、早や1箇月が経過しました。
皆さんは、令和4年(2022年、寅年)を、どんな年にしてみたいでしょうか?あるいは、どんな年でありたいでしょうか?
私は幼少の頃、祖父母より「1年の計は元旦にあり」と教えられましたが、やはり健康な1年間としたいです。

そこで、このコーナーでは『ホッと!』な話題を紹介しつつ、「お酒と健康」についての連載とさせていただきます。それでは、第1回目は『飲みニケーション』の場でも活躍する「アルコールとの正しい付き合い方」について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

私事で恐縮しますが、昔からアルコールと女性には弱く、すぐに赤く反応します。その点が親譲りであるのは唯一、私の自慢できるところです。
さて、ある夕食時の出来事です。すでに他界した私の祖父母は、経を唱えるかのように「酒は百薬の長である」といいながら毎晩、お酒を嗜(たしな)んでいました。私の耳には、胼胝(たこ)ができるくらいの強烈なインパクトとなり、その光景は今でも昨夜の食卓であったかのように錯覚します。

では、皆さんに質問です。1日に摂取できるアルコールの適量とは、どのくらいであると思いますか?
臨床現場で白衣を着た時や、講演時に質問を受けた際、「ビールの場合は中瓶1本(アルコール換算値として20g)、日本酒では1合(同22g)、ワインはグラス1杯(同12g)、ウィスキーであればダブル1杯(同20g)」と説明します。老婆心ながら少なくとも、それぞれを足した総量とはならないので、注意してください。

アルコールには、気持ちをリラックスさせたり、ストレスを解消させたり、眠りを誘うなど様々な作用が知られています。そのため、入眠前に飲酒する「寝酒」の習慣は、世界各地にも存在するようですが、たとえば「寝酒」をした場合には、①夜間にトイレの回数が増えたり、②脱水症状で喉が渇いたり、③鼻粘膜の腫脹(しゅちょう)で鼻づまりになったり、あるいは④筋肉の弛緩(しかん)で鼾(いびき)になるなど、結果として睡眠の質を悪化させてしまうことがあります。したがって、入眠時には血中のアルコール濃度を限りなく〝ゼロ〟にするのがベターです。ここで個人差はありますが、1時間に約7gのアルコールを代謝できることからも、床(とこ)に就く3時間くらい前までには適量のアルコールを摂取しておく、すなわち「寝酒」から「晩酌」へとシフトした生活習慣を身につけ、アルコールとは正しく付き合ってほしいと願う今日この頃です。

ところで、皆さんは『J型カーブ』という言葉を耳にしたことがありますか?
アルコール消費量をX軸、生活習慣病のリスクをY軸とした場合、グラフ上でアルファベットの〝J〟のような曲線を描くことから、『J型カーブ』と命名されました。すなわち、①アルコールを全く摂取しない人(非飲酒者)よりも、少量でもアルコールを摂取する人の方が、生活習慣病のリスクは低い。②非飲酒者や少量のアルコールを摂取する人よりも、アルコール摂取量が多い人は生活習慣病のリスクが高い。さらに③アルコール摂取量が増えれば増えるほど、生活習慣病のリスクがグングンと高まる。諸説ありますが、『全く飲まないタイプ』や『飲みすぎタイプ』ではなく、むしろ『ほどほどで、適当なタイプ』がベストであると痛感します。

次回は、アルコール飲料の一種である「ワインの発祥とその魅力」について、歴史を紐解いてみたいと思います。【続】

多根井 重晴 教授
  • 多根井 重晴 教授
  • 所属:日本薬科大学 大学院薬学研究科臨床薬学領域 社会薬学分野
    専門:教育心理・医療心理、離島医療・災害医療、薬事関係法規
    出身:明日香村(奈良県)
    趣味:ゴルフ、温泉、グルメ
  • 日本薬科大学 公式サイト
    https://www.nichiyaku.ac.jp/

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