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医療と健康

2021年12月16日

大腸がん罹患者が増加~40年間で7倍に

40歳を過ぎる頃から増え始め、年をとるごとに罹患数が増えてゆく大腸がん。女性では14人に1人が、男性では11人に1人が一生のうち一回は大腸がんにかかるとも言われている。今回は大腸がんについて、検査法や予防法について詳しくお伝えしよう。

女性の悪性腫瘍死亡率1位

2021年6月に厚生労働省より発表された、令和2年の人口動態統計月報年計(概数)の悪性新生物〈腫瘍〉の主な部位別の死亡率(人口10万対)の結果によると、男性は「肺がん」がもっとも高く、第2位が「胃がん」、そして第3位が「大腸がん」であった。
「悪性新生物の主な部位別死亡率の年次推移(グラフ)」を見ると分かる通り、死亡者数が減少傾向にある胃がんと比較すると、大腸がんは年を追うごとに死亡者数が急増しており、まもなく逆転して大腸がんが2位になるということが予測されるだろう。また女性の1位も「大腸がん」であり、これは平成15年以降、1位が続いている。この40年で大腸がんの罹患数は7倍にも増加しており、今では毎年13万人以上が罹患し、そして5万人以上が死亡している。しかし大腸がんというものは、早期発見ができれば治療することも可能であり、決して「不治の病」ではない。早期であればあるほど治療もしやすく予後も良好となる。また、定期的に大腸がん検査を受けていれば、がんになる前段階の「大腸ポリープ」を発見、切除し、大腸がんの予防にも繋げることができるのだ。

定期的に検査を受診して、早期発見さえできれば治療も可能であり、さらに予防することもできる大腸がん。だからこそ、大腸がんで命を落としてしまうということは非常に残念なことなのである。

大腸がんは初期の段階では自覚症状が現れにくい。ある程度進行すると、便に血が混じるようになったり、下痢や便秘を繰り返すようになることもある。また、便が細かったり、便が残っている感覚、腹部の張り、腹痛、体重の減少などがある。初期には症状に表れにくい大腸がん。その検査方法についてお伝えしよう。

早期発見で完治も
「便潜血検査」でスクリーニング

最も一般的に行なわれている大腸がん検査が「便潜血検査」と呼ばれるもの。大腸内にがんの原因となるポリープや初期のがんがあると、そこから出血し、便にその血液が混じることがある。しかし、目で見ただけで発見することは難しいため、定期的に便潜血検査を行う必要があるのだ。

便潜血検査は、少量の便を採取し、その中に血液が混ざっていないかを調べる検査であり、簡単に、かつ低コストで行うことができる。そのため市区町村で年に1回、補助を受けて受診することができるような仕組みとなっているので、お住いの地域の役所などで調べてみると良いだろう。受診に関する案内状が郵送されてくるケースが多い。しかし、ポリープやがんであっても出血しないケースもあり、出血していたとしても、その出血を便潜血検査でうまく検出できるとは限らない。また逆に、たとえ出血を検出したからといっても、必ず病変が存在しているとも限らない。便潜血検査は、簡便に、低コストで、痛みも苦痛も無く行なえる検査ということで、あくまでも大腸がんである可能性を探るスクリーニング(ふるい分け)として行なわれる検査である。

以上のような理由から、便潜血検査で陽性であった場合には必ず、あるいは陰性であったとしても数年に1回は「大腸内視鏡検査」を受診するようにしたい。

大腸内視鏡検査
ポリープの切除も

次に、大腸内の状態を直接観察することができる大腸内視鏡検査について説明しよう。
大腸内視鏡検査は、肛門から管状のカメラを挿入し、映像をテレビモニターに映し出して直接大腸内の状態を観察する検査である。カメラを通し、目で見て検査を行えるので、早期の大腸がんや、便潜血検査で見逃された病変でも発見することができる。また、検査中にポリープが見つかった場合、そのまま切除することも可能である。ポリープの段階で早期に切除をしてしまえば、将来的に大腸がんを発症する確率を減少させることが可能なのだ。

すべての人に大腸内視鏡検査を行うことができれば、大腸がんの罹患者数や死亡者数を劇的に減らすことも可能であるが、検査には時間とコストもかかる。さらに大腸内視鏡検査の準備には、前日から食事の制限が必要だったり、検査当日に下剤を飲んで便をすべて排出し、大腸内をきれいにしておくことが必要となるなど、検査を受ける人にある程度の負担がかかる。そのため、すべての人が大腸内視鏡検査を受けるのは現実的ではないため、ふるい分けをするための便潜血検査も必要となるのだ。

生活習慣改善でリスク減
運動習慣で便秘予防

最後に、大腸がんのリスクを減らすポイントについてお伝えしよう。大腸がんは遺伝など避けられない因子もあるが、生活習慣の改善によってリスクを下げられるものもある。

最初に述べたように、この40年で大腸がんの罹患数は7倍にも増加している。この要因には、日本人の食生活が欧米化したということも関係しているという。肉類中心の食生活、とくにハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉、貯蔵肉は大腸がんのリスクを上昇させる可能性が高いという。また、喫煙や飲酒もリスクを上昇させるので注意が必要だ。

大腸がんリスクを下げるものが運動習慣である。便秘は大腸の粘膜を痛め、大腸がんのリスクを高めると言われているが、運動することによって大腸の働きが活発になり、便秘の予防、そして大腸がんのリスクの低減ができるのだ。また運動することでがんの発生に関係するホルモンの分泌を抑制するという効果も知られている。

繰り返しになるが、大腸がんは早期発見さえ出来れば、ほとんどが完治できる病気である。そのためにも、まずは毎年大腸がん検診を受診していただき、定期的に大腸内視鏡検査も受診いただくことをおすすめする。

 

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