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医療と健康

2023年09月26日

「コロナに罹りまして・・・」

新型コロナウイルス(COVID19)の流行からもう2年半が過ぎました。いまだに蔓延っています。当初の死亡率の高さや重症化した肺炎でエクモの治療など、恐ろしい新型コロナウイルスの流行も今では「5類」とやらに区分され、何となくインフルエンザと同じような、十分気を付けなければいけないけれども、万が一罹っても死ぬことはなさそうな・・・、ということで、私たちも少し気が緩んできているのも事実でしょうか。

と、そんな時に私もコロナに罹りました!

8月20日過ぎに、前回のこの連載の原稿をご担当の方にお送りし、8月28日に第6回目のワクチンを接種するように数か月前からかかりつけの先生に予約していました。実はその間、福岡で講演が依頼されていて、8月24日―25日と福岡に出張したのです。夏休みの終わりも近いとあって、羽田空港も福岡空港もそして往復の飛行機も旅行客などでとても混雑していました。また福岡では旧知の友人と福岡名物の「もつ鍋」を囲み、ワイワイガヤガヤと楽しいひと時を過ごしたのも事実です。もちろん心の片隅にはコロナのことは注意していましたし、外出時や人ごみにいる時など、なるべくマスクを着用していたのですが・・・。

25日に講演を終えて、午後の便で福岡を離れ夕方羽田着の後、夜に自宅に戻りました。翌26日は土曜日だったのですが、その日の夕方から何となく喉に違和感を覚え少し咳も出ていましたが、夕食も普通に食べられましたので、その晩は少し早く休みました。夜中も特に問題はありませんでしたが、27日(日曜日)朝起きると少し熱感があり、自分では平熱よりも高い36.8度なのでアレっと思い、念のため抗原検査(鼻の奥を綿棒で擦るタイプ)をしましたが、陰性でした。久しぶりの出張疲れだと思いましたが、当日は一日中疲れの残った感じ(だるさ)があり、咳も出ていたため、自宅で静養していました。夕食はあまり食欲もなく、その日も早く就眠しました。
28日は月曜日でその日の午後に(先に書きましたが)第6回目のワクチンを予定していましたが、当日の朝は体温が37.3度ぐらいまで上昇していたため、再度抗原検査をしたところ、今度はバッチリ(!?)陽性となっていたのです。さあそれからが大変。私は家内と二人暮らしですが、マンションのため、隔離生活は非常に難しい状況です。二人ともマスクをし、できるだけ近寄らないようにはしましたが、結果的には家内も翌日(29日)に発熱、咳などでコロナ陽性となってしまいました。
当然かかりつけのクリニックに電話し、経緯と事情を話してワクチン接種はキャンセル。以前に処方してもらっていた鎮痛解熱剤をしっかり飲んで、自宅に籠って(いわばひっそりとして)ウトウトした生活を送る羽目になってしまいました。

幸い症状は軽く、咳とのどの痛みはありましたが、高熱は出ませんでした。夕方は自宅の近くの公園まで10分程度の散歩にも出かけました。翌29日(火曜日)は自宅外で予定された用事はなく、午前中に研究指導をしている大学院生とのオンラインでの論文作成の打ち合わせが30分程度ありましたが、少し咳が出る程度で特に問題なく終えました。熱もほぼ平熱に戻り、咳と痰(黄色い膿性の痰です)が出ている状況でした。私はどうも比較的軽く済んだようなのですが、家内の方が同じような症状ですが程度は少し重く、2日ほどは寝たり起きたりで、1週間以上たった今日でもまだ乾いた咳が続いている状況です(染してスミマセン・・・)。

以上が私のコロナ感染記なのですが、実は新型コロナウイルス流行について、全国の感染状況は急速に増加しているようです。「2類」から「5類」に移行したことによって、感染者数の詳細が分からなくなっているのですが、現在は全国約5,000の医療機関からの報告を基に、1つの医療機関で1週間にコロナで受診する患者数の平均が毎週報告されています。それによると8月末では1医療機関当たり平均患者数は20.50人となっています。今年4月~5月では平均約2人程度でしたから、わずか3か月でざっと10倍に急増していることがわかります(図)。

さらに今日流行しているのはXBB系統と呼ばれる変異したウイルスで、過去の感染やこれまでのワクチン接種で獲得した免疫をすり抜けて(回避して)発症するという、厄介な変異型のコロナウイルスのようです。これまでのように高齢者や高血圧、糖尿病、がん、慢性の肺の病気(慢性閉塞性肺疾患)などの基礎疾患を持っている方などは重症化しやすいという特徴がありますので、十分な注意が必要です。そのようなリスクの高い方にはやはりワクチン接種が予防の中心となります。新型コロナが5類となり、「もう普通の風邪と同じ」と思われている方も多いと思いますが、重症化の程度とか後遺症を考えると、決して普通の風邪ではないことを、改めて皆様にお伝えしておきたいと思います。

1医療機関当たりコロナ感染者平均患者数(NHK報道資料より1医療機関当たりコロナ感染者平均患者数(NHK報道資料より;
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/ )

新型コロナウイルス 療養に関するQ&A

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鈴木 隆雄 先生
  • 桜美林大学 大学院 特任教授
  • 国立長寿医療研究センター 理事長特任補佐
超高齢社会のリアル ー健康長寿の本質を探る
超高齢社会のリアル ー健康長寿の本質を探る
老後をめぐる現実と課題(健康問題,社会保障,在宅医療等)について,長年の豊富なデータと科学的根拠をもとに解説,解決策を探る。病気や介護状態・「予防」の本質とは。科学的な根拠が解き明かす、人生100年時代の生き方、老い方、死に方。
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