高齢者のための情報サイト【日本老友新聞】

老友新聞
ルーペ

医療と健康

2016年12月28日

人間ドックで尿潜血・蛋白の診断…

人間ドックで尿潜血・蛋白の診断を受けました。改善方法は…

65歳の男性です。私はこれまで、大きな病気というものはしたことが無いのですが、よく酒を飲むために、息子のすすめで人間ドックを受診しました。すると、尿検査のところで、尿潜血と、蛋白が出ているという結果でした。

尿潜血というのは、いわゆる血尿だと思うのですが、排尿の時には、今まで何も異常はなく、痛みもありません。

尿潜血というのは、どのような病気なのでしょうか。激しい運動をすると血尿になると聞いたことがありますが、運動は殆どしません。改善をするには、どうすれば良いでしょうか。

答え

腎臓に疾患の疑い
詳しい検査で原因究明を

人間ドックを受診した結果、尿に潜血と蛋白が出たことを心配されてのご相談です。

尿潜血というのは、腎臓から尿管、膀胱、そして尿道を通ってお小水が排泄されるという経路のうち、どこかで出血があり、尿に赤血球が混じることで出るものです。原因は様々で、たとえば腎臓に疾患がある方や、膀胱炎の方、前立腺炎、あるいは腎臓がんなどで出血がある場合などに尿潜血が出ます。

一方、病気ではなく、血液中から尿の成分を取り出す際に、わずかに赤血球が漏れ出しているというケースもあります。また、ご指摘の通り、激しい運動をした際にも、血尿が一過性に出てしまうこともありますが、それはかなりの運動量の場合ですので、一般的な生活をされている方にはまず当てはまりません。人間ドックの検査で尿潜血が出た場合には、やはり様々な病気の可能性を考えなければならないのです。

しかし今回のご相談の場合、蛋白も出ているという事ですので、こちらの方にも注目をする必要があります。蛋白が出ている場合には、膀胱や尿道からの出血ではなく、腎炎など腎臓の病気が潜んでいる可能性が高くなります。

腎炎にも様々なタイプがありますが、持続的に炎症が起きることで、蛋白と潜血が出たりします。また、高血圧や糖尿病がある方ですと、それによる腎臓障害ということも念頭に置かなければなりませんので、人間ドックの結果の中で、それらの値も注意をしてください。

まずは、これらの病気が潜んでいるかどうか、しっかりと調べることが大切で、万一腎臓の病気があった場合には、もちろん治療をすることになります。また、たとえ病気が無かった場合でも、定期的に尿検査を行なうようにしてください。潜血や蛋白が出たというだけではなく、1+、2+、3+といったように、重症度に差がありますので、継続的に経過を見ていただき、重症化していくような事があれば、その際には改めて詳しい検査を行なう必要があります。

腎臓に疾患があった場合に、日常生活でできる改善方法というと、なかなか難しいことなのですが、まずは水分を十分にとり、脱水状態にしないことです。また、高血圧や糖尿がある場合は、生活習慣を見直していただき、それらの数値をしっかりとコントロールするように心がけてください。

この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。

髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

高齢者に忍び寄るフレイル問題 特集ページ

健康への不安や悩みはありませんか?

健康にまつわるご相談を募集しております。医療法人社団同友会理事長がわかりやすくお答えをいたします。

読者投稿の募集はこちら


日本老友新聞・新聞購読のお申込み
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
  • トップへ戻る ホームへ戻る