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2017年06月06日

2カ月間、咳が止まらない

2カ月間、咳が止まらない

62歳の男性です。この2カ月以上、ずっと咳が止まらずに困っています。

最初のうちは、咳、痰と、熱も出まして、風邪をひいたと思っていました。その後熱は納まったのですが、いつまでも咳だけが残っています。

近くの病院で診ていただき、胸のX線検査をしたのですが、とくに異常はないとのことでした。その時に咳止めを出していただいたのですが、それでも改善しません。

とくに夜、眠る際に咳がひどくなり、肋骨が痛むほどで、困っています。咳の原因は分かりますでしょうか。

答え

咳が主体の喘息
長く続く時は再診察を

激しい咳が2カ月以上続き、胸のX線検査をされたのに異常が見つからなかったとのお話です。

今回のご相談のように、空咳が長く続くような症状を慢性咳嗽(まんせいがいそう)と呼びますが、その原因はいくつかあります。

中でも見落とされやすいのが咳喘息というものです。通常の喘息は「ゼーゼー、ヒューヒュー」という呼吸音が出て、息苦しいというのが特徴ですが、咳喘息の症状は咳が主体になります。この場合、通常の咳止めや風邪薬はあまり効果がなく。気管支拡張薬や、吸入ステロイド薬など喘息の治療に準じたものを使用します。

その他にも慢性咳嗽の原因にはさまざまなものがありますが、百日咳も注意しなければならない病気の一つです。百日もの長い期間、咳が続く事が名前の由来で、近年流行がたびたび確認されている呼吸器感染症です。

百日咳も、胸のX線検査だけでは発見できず、診断には血液検査など専門的な検査をする必要があります。いただいたお手紙にもあるように、激しい咳のために、肋骨を骨折してしまうこともあるほどです。また、百日咳は人から人へ感染するので、そのまま放置してしまうと、ご家族、とくにお孫さんなど、子供にうつしてしまう危険がありますので、やはり、早めに検査をするようにしてください。

また、胸のX線検査は問題なかったということですが、万一の事を考えると肺がんをチェックするために胸部CTによる画像診断をおすすめします。それは、心臓や肋骨などの陰に隠れて、胸のX線検査では発見できないがんもあるためです。いずれにしましても、長引く咳の原因としては様々な病気を考えてゆかなければなりません。2カ月以上咳がつつく場合には、仕切り直しをして診察を受けましょう。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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