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医療と健康

2021年08月26日

一過性の目の異常は脳梗塞の前兆の可能性

突然、片目の見え方に異常が起きて数分で治る…


67歳の男性です。突然の目の異常について教えてください。

この半年間くらいで3回経験したのですが、突然、右目だけ見え方が暗くなったり、ものが二重に見えたりすることがありました。

普段はこのようなことはないのですが、忘れた頃に症状が起き、2~3分くらいで治まって、その後は何ともありません。以前、加齢黄斑変性という病気についての記事を読みましたが、それとは違うようです。

すぐに治まってしまうので、目医者にもかかっていないのですが、このような症状は単に老化現象なのでしょうか。

答え

脳梗塞の前兆である可能性あり。できる限り早く受診を

 

今回は一時的に片方の目が見え難くなる症状があったという方からのご相談です。

高齢になって目が見えにくくなる病気というのは様々ございまして、ご指摘の加齢黄斑変性や緑内障などは放置してしまうと失明にも至る重要な目の病気です。しかし、このような目の病気の場合は、常時見えにくい状態が続き、月日の経過と共にその症状が悪化してゆくものです。症状が一過性に発生し、その後元に戻るということは通常ありません。

今回のご質問のように、症状が一過性の場合に注意しなければならないのは、脳梗塞の前兆である可能性です。

目には、脳の血管から枝分かれした眼動脈という血管が流れています。動脈硬化などにより、その血管の血流が一時的に低下すると、その際目が見えにくくなることがあります。これを黒内障といい、一過性脳虚血発作と呼ばれる脳梗塞の前段階で発生する症状のひとつです。

この一過性脳虚血発作では、脳の様々な部分の血管の血流が低下することで、その場所に応じた症状が現れます。たとえば手足に力が入らなくなる、言葉が喋りにくくなる、人の話を理解しにくくなるなどです。それらの症状は一過性で、数分から数十分で元通りに戻るのですが、恐いのはその後、数日以内に1割程度の人が脳梗塞を発症すると言われていることです。このような場合、速やかに脳神経内科あるいは脳外科を受診していただき、適切な診断、治療をすることが重要です。

とくにあなたの場合は、すでに症状が3回ほど繰り返し発生しているとの事ですので、できるだけ早く受診してください。もし一過性脳虚血発作であるならば、血が固まりにくくなる薬を使用し、脳梗塞の発症予防をすることができます。

一過性脳虚血発作は動脈硬化による病気なので、60歳以上の方、高血圧の方、体の片側に麻痺症状がでた方、糖尿病の方、発作の症状の持続時間が長い方などは、脳梗塞へ進行するリスクが高いため注意が必要です。とくに高血圧や糖尿に心当たりがある場合には、きちんと数値をコントロールするようにしてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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