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2020年05月19日

「人と付き合う しがらみ はなれ 今日は一日 本のなか」2020年5月入選作品|老友都々逸

老友新聞2020年5月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)

天の位

人と付き合う しがらみ はなれ
今日は一日 本のなか

山田 浩司

本の中に居(い)られたことを充実の一日として詠む。日常の人付き合いを、流れを塞止(せと)めるしがらみに例える程、普段は多忙なのです。

地の位

焦がれる姿の 悲しみ描く
上村松園 花がたみ

天野 照華

謡曲「花筐(はながたみ)」。継体天皇と照日前(てるひのまえ)のエピソードを描いている。美人画の名品が多い松園としては異色作と言われ「狂人の狂う姿(本人の言)」を実地を見極めて画いたとされる。赤い袴、水色の裲襠(うちかけ)、黒髪など深く目に残る。奈良の松伯美術館所蔵。

人の位

会社の利益と 口では申し
黒いお腹が 透けている

松本 タケ

会社の為とか社会の為とか言いつつ、私腹を肥やす鉄面皮(てつめんぴ)(恥知らず)が居ますね。

十 客

白い蝶々が 寝顔を覗(のぞ)く
花に預けた 乳母車

飛田 芳野

詠み方が豊かで確かです。言葉には表していないのに赤ちゃん一点に喜びが集中しています。

ホカホカ豚まん 土産に持って
孫のもとへと 軽い足

鈴村 美保子

出来たての豚まんを受けとるお孫さんの笑顔が目に浮かびます。

近くの他人に 命を貰い
今日を微笑む 福寿草

倉澤 登美子

遠くの親戚より近くの他人の諺どおり、命に関わる程の助けを貰えるような綺麗な御近所付き合いが目に見えるよう。

マスク手洗い うがいに納豆
コロナウイルス ノーモア

王田 佗介

名詞を上手に並べた時事吟。結句に心の叫び。

昔はづかし 穴あきズボン
今はファッション おしゃれ穿(ば)き

小林 良一

ジーンズのそれを私もよく目にします。

米寿祝った 良人のいのち
空を仰げば 千の風

手銭 美也子

「千の風」の歌。お墓の前で泣かないでください。

荒れた菜園 その片すみで
河津桜が 泣いて咲く

勝亦 はる江

荒れた理由を桜も知っているのですね。「泣いて咲く」が切ない。

何処に巣を張ろ 光を浴びて
戸樋(とい)をチョロチョロ 朝の蜘蛛

向井 智恵子

朝蜘蛛は縁起がいいと言いますね。

老いた我が身に 俚謡(うた)あればこそ
生きる明日への夢が湧く

惣野代 英子

俚謡正調を紙面で高らかに唱えた万朝報の黒岩涙香先生のお考えに通じます。

あれこれ忘れる 脳細胞よ
命終わる日まで もって

岡本 政子

私も自分の色々な体の器官に(持ってくれよ!)とお願いして生活しています。

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