高齢者のための情報サイト【日本老友新聞】

老友新聞
ルーペ

医療と健康

2016年10月25日

眼科で飛蚊症と診断されたが…

眼科で飛蚊症と診断されたが…

67歳の女性です。最近、肩がこったり、頭痛がしたりするので、疲れがたまっているのかと思ったのですが、先日、左目でものを見たときに、小さな黒い影が映っていることに気がつきました。

眼科に診てもらったところ、飛蚊症と診断されたのですが、経過を見るだけで治療は必要ないと言われました。

飛蚊症で目が疲れて、頭痛が起きているのかもしれません。時間がたてば、慣れるものでしょうか。また、飛蚊症は治療をしなくても、自然に治るものなのでしょうか。

答え

眼球の硝子体に濁り
進行遅ければ心配要らない

飛蚊症というのは、あなたが自覚をされているとおり、目の前に小さな糸くずや虫のようなものがフワフワと浮かんでいるように見えてしまう状態です。

飛蚊症の原因の多くは目の中のよどみや、濁りによるものです。眼球の中は、硝子体という透明なゼリー状の物質で満たされており、その中を光が通過し網膜によって光を捕らえ、その情報が視神経を通って脳に伝わることで視覚として感じることができるのです。ところが、老化によりその透明な硝子体の中に、部分的によどみや濁りができてしまうと、それが小さな黒い浮遊物として写り込んでしまうのです。

それ以外にも、老化現象により硝子体が収縮することで網膜から少し剥がれてしまう、硝子体剥離という状態でも飛蚊症が起きてしまいます。このような原因で発症する飛蚊症は、ふと気が付くと、いつの間にか症状が出ていて、日常生活のうえで、ほとんど気にならないくらいのものです。症状の進行も遅く、とくに問題はありません。

心配しなければならないのは、硝子体の内部での出血や、網膜剥離が原因で症状を起こしているような場合です。通常の飛蚊症と同じような症状が現れますが、ある日突然であったり、また進行も早く、範囲が広がったりします。この場合、治療の対象となりますので、早急に眼科を受診することが必要です。

あなたの場合は、すでに眼科で検査をし、とくに問題がないと診断されていますので、老化による硝子体のよどみや濁りによる飛蚊症だと思われます。その場合、残念ながら自然に治癒することはあまりありませんが、時間が経つに連れて慣れていくことでしょう。

万一、症状が強くなっていくような事がありましたら、最初の診断の時とは違う、治療の必要な状態になっていることも考えられますので、再度眼科を受診され、眼底の詳しい検査を受けてください。

この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。

髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

高齢者に忍び寄るフレイル問題 特集ページ

健康への不安や悩みはありませんか?

健康にまつわるご相談を募集しております。医療法人社団同友会理事長がわかりやすくお答えをいたします。

読者投稿の募集はこちら


日本老友新聞・新聞購読のお申込み
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
  • トップへ戻る ホームへ戻る