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医療と健康

2018年08月30日

50代の死亡率が高まる乳がん…60代、70代も注意が必要?!

胸の脇にしこりが…乳がんが心配です

76歳の女性です。先日、お風呂で体を洗っている際に気付いたのですが、胸の脇に赤い発疹ができており、その部分が小さなしこりになっているのに気がつきました。

いつ頃からできていたのかは分かりませんが、2週間ほど経っても、まだ治りません。反対側の胸にはそのようなしこりは無く、まさかとは思いますが、乳がんなのかと心配になりました。

乳がんなんて、若い女性の病気かと思いましたが、高齢でも乳がんになることはあるのでしょうか。それともただの吹出物なのでしょうか。

答え

マンモグラフィ、超音波検査を!高齢者でも乳がんに注意必要です

今回は乳がんを心配されるご高齢の女性の方からのご相談です。

乳がんの罹患率は女性のがんの中では1位で、死亡率も年々増えています。年齢別にがんの罹患率をみると、胃がんや大腸がんなどの一般的ながんというものは、年齢を重ねるにつれて罹患率が上昇し、高齢期になるとさらに急上昇していくものです。しかし乳がんや子宮がんの場合は傾向が異なり、閉経時期である40代、50代に罹患率のピークがあり、とくに最近の傾向では50代の死亡率が高くなっているために、高齢者はあまりかからないと認識される方もあるかもしれません。しかし、実際には60代~70代になってもほぼ横ばいの罹患率となっており、若い女性に限らず、ご高齢の女性でも注意が必要ながんなのです。

最近ではマンモグラフィや乳腺超音波による定期的な検診を受けていただいて、早期発見、早期治療の重要性がかなり浸透してきているかと思います。それに加え、今回のケースのように、ご自身でしこりに気がつき、発見されるケースも少なくありません。

一般的に乳がんというものは、乳房の内部にあります乳腺にできるため早期から皮膚に変化が出てくることは稀ですが、進行してきたり、皮膚に近いところに発生すると、皮膚の表面に少しくぼみができたり、発疹ができたりします。あなたの場合、胸の脇部分に発疹があり、そこに小さなしこりが表面にあるという事ですので、乳がんとしてはあまり典型的な症状ではありません。

しかし、注意しなければならない点として、乳房の視触診だけの検診は有効性が否定されているということがあります。せっかくご自身で気が付かれた事ですし、油断はできませんので、一度は乳腺外来などを受けていただき、必ずマンモグラフィや乳腺超音波検査を受けるようにしてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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