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2020年02月13日

空気が乾燥する冬に多い「皮膚のかゆみ」その対処と療法

空気の乾燥が続く冬の時期、風邪などをひかないように皆注意をされていることと思われるが、それ以外にも皮膚のかゆみを訴える人も少なくないだろう。乾燥して肌がかゆくなり、無意識のうちに掻いてしまうと、かゆみが余計に強くなり、皮膚を掻き壊して跡が残ってしまうこともある。今月は高齢者に多い皮膚のかゆみについて詳しくお伝えしよう。

かゆくても掻かない
ビタミンB・C食を摂る

かゆみが起こる原因は様々ある。まずはこの時期に最も多い、皮膚の乾燥によって起こるかゆみについて解説しよう。
皮膚表面にとくに異常はないのに生じるかゆみを「皮膚掻痒(そうよう)症」といい、空気が乾燥しやすい冬の時期に症状が現れることが多い。
皮膚の表面の角質層は皮脂の膜によって保護されており、水分の蒸発を防いでいる。しかし高齢になると新陳代謝が低下し、皮脂の分泌量も少なくなるため、皮膚表面の角質の水分が失われやすい。また、入浴の際に身体を石鹸で強く洗いすぎてしまった場合にも皮脂が失われることがある。
このような状態になると、ほんの僅かな刺激だけでもかゆみを感じやすくなるのだ。また、一度掻いてしまうと皮膚の角質層が痛んでしまい、その部分は余計に神経が過敏になり、さらにかゆみが強まってしまう悪循環となる。
「かゆくても掻かないようにする」というのが対策の基本であるが、眠っている間、無意識のうちに掻いてしまうこともあり、また入浴で身体を洗う際に、ナイロンタオルでかゆい部分をついゴシゴシと擦ってしまうこともあるだろう。痒みがひどいと夜眠れずに睡眠不足になったり、掻き壊すと皮膚表面が真っ赤に炎症を起こしてしまうこともあるので適切な対処が必要である。

入浴はぬる目
充分な睡眠を

まず入浴の際には柔らかいタオルか手のひらに石鹸をつけて優しく洗うこと。そして身体が温まるとかゆみが起こるため、熱い風呂に浸かるのはよくない。湯船の温度はぬるめにして、また風呂から上がる前に、かゆみのある部分に少し冷水をかけておくとかゆみが収まる。風呂から上がる際、身体を拭くときにも強く擦らずに、タオルでかるく叩くようにして拭くとよい。また風呂上りは肌が乾燥しやすくなっているため、保湿クリームを塗って皮膚表面のケアを行うこと。直接皮膚に触れる肌着についても、化学繊維のものは避け、なるべく刺激の少ない木綿製でやわらかな素材を選ぶと良い。
部屋の湿度についても注意をしなければならない。冬の時期は加湿器を使用したり、濡れたタオルを室内に干すなどして湿度を保つようにしよう。とくにエアコンによる暖房は乾燥しやすくなるため注意が必要だ。
食事についても注意が必要だ。アルコール類は飲みすぎると身体が熱くなり、かゆみが強まってしまうので、出来るだけ避けるようにする。またコーヒーなどカフェインが含まれるものや、辛味の強い香辛料など刺激物の摂取も控えること。そして、ビタミンBを多く含む食材(乳製品・卵。レバー等)やビタミンCを多く含む食材(野菜、果物等)を積極的に摂るようにするとよい。
それでもかゆみが起きてしまいそうなときには、意識を他のものに移すとよい。たとえば読書や家事を行うなど、意識を集中したり身体を動かしたりするとかゆみを忘れることができる。また、皮膚を守るための新陳代謝は夜眠っている際やリラックスしている時に活発になる。夜更かしはせずにゆっくりリラックスして充分な睡眠時間をとるようにしよう。
以上のような対策をしてもまだかゆみが続く場合には、何か他の疾患が原因となっていることもあるので注意が必要だ。

「ダニ」「水虫」「ヘルペス」
かゆみの対処と療法

次に皮膚掻痒症以外の原因によるかゆみについて解説しよう。

■疥癬(かいせん)

疥癬はダニの一種であるヒゼンダニが人間の皮膚に寄生して発症するもの。皮膚の角質層に寄生して、小さな穴を掘ってその中に隠れ住み、そこで卵を産み付けたりもする。皮膚表面に赤く小さなブツブツができたり、疥癬トンネルというミミズ腫れのようなものが現れることもあり、激しい痒みが伴う。人と人との肌が長時間触れ合ったりすると感染する。病院や老人ホームなど集団生活を行う場所などで感染が広がるケースがある。治療はヒゼンダニを駆除するための塗り薬や飲み薬が用いられる。

■白癬(はくせん)

いわゆる水虫である。白癬菌というカビの一種が皮膚の角質層に感染し、増殖することで発症する。
風呂場の脱衣所のカーペットや足拭きマット、スリッパなどから感染することが多いために、足の裏に発生することが多いが、全身様々な場所に感染する。
とくに感染した部分をかくと、指や爪の中に白癬菌が入り込み、その手で他の場所をかいたりすると感染が広がってしまう。
症状は様々で、皮膚表面がジュクジュクしたり、皮がむけたり、あるいは患部の皮膚が分厚く、硬くなったりすることもある。
皮膚表面に感染している場合には、白癬菌の増殖を抑える塗り薬が使われる。頭髪や爪に感染した場合には内服薬による治療も行われる。
もし家族の誰か一人が白癬菌に感染した場合、家族内で感染を繰り返してしまうため、感染した人だけではなく家族全員が一緒に検査・治療をする必要がある。

■単純性疱疹

「ヘルペス」と呼ぶこともある。ヘルペスウイルスに感染することで発症する。
日本人の場合、およそ7割の人がもともとこのヘルペスウイルスを保有していると言われている。ウイルスを保有していても、普段は症状が現れることは無いが、風邪をひいたり、ストレスや疲労がたまるなどして免疫力が弱まった際にウイルスの活動が活性化して症状が現れる。
典型的な症状としては口の周りや陰部周辺に赤い水ぶくれやクレーター状の潰瘍ができ、ピリピリとした痛みやかゆみを伴う。
治療はウイルスを駆除する塗り薬や飲み薬を使用する。また免疫力の低下による発症の場合には、ゆっくり休養をとり体力を回復させることも大切である。

身体のかゆみは単なる乾燥によるものだけではなく、様々な疾患が原因となっていることも多い。まずはかゆみの原因を調べ、それに応じた適切な対策をとることが必要なので、症状が長引く際には医師に相談をすることが大切である。(老友新聞社)

高谷 典秀 医師
  • 医療法人社団同友会 理事長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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