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2021年02月05日

「故郷を出でて七十年を経ぬ悔いなくは無し冬空遥か」2021年2月入選作品|老友歌壇

老友新聞2021年2月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)

一 席

故郷を出でて七十年を経ぬ悔いなくは無し冬空遥か

王田 佗介

年毎に望郷の念が募ってくるのでしょう。「悔いなくは無し」に万感の思いが溢れます。結句に、その思いを解き放ちました。

二 席

大玉の野菜の重さ想いつつ見廻る背中に冬の陽温し

大石 志津江

成長した野菜の重さを「思う」ではなく「想う」にした事で、作者の野菜に対する愛情と慈しみが十分に伝わります。

三 席

少年のキャッチボールの音の良さ静かな風に吹かれつつ聞く

鈴木 三保子

音に意識を向けたのがいいですね。キャッチボールの音と共に静かな風の音も聞こえ、爽やかな場面が目に浮かびます。

佳作秀歌

霜月の夜長くして本棚の常には見ない古事記を引き出す

秋山 みさ子

秋の夜長は、普段は書棚の奥にある古事記を読んでみようかと思わせます。

イヨマンテ見守るフクロー炎(ひ)に染まるホーホーホーと鳴くは幻

内野 光子

去年のNHK朝の連続テレビ小説「エール」は、生きる希望と勇気を与えてくれました。「イヨマンテの夜」もドラマのモデル古関裕而氏の曲。「ホーホーホーと鳴くは幻」が、祭りの雰囲気を伝えています。

いまは未だ老いと申さぬわれがいて時々姿見のぞいています

山岸 とし子

そうです。老いを意識し注意しつつも、老け込むのは禁物。おしゃれ心に年齢は関係ありません。前向きな姿勢が素敵です。

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