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三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

2024年02月26日

連載30回「お酒」

一瞬暖かくなったと思ったらまた寒くなりましたね。
余計に冷たい風が身にしみます。
気があるような思わせ振りな態度をとってきてこっちがちょっと好きになりかけたら急に連絡とれなくなるタイプの女の子のような天気。
まぁそんな恋愛したことないのですが。
さて前回師匠好楽と旅行に行った話を書きましたが、あの時実は師匠はほとんど飲んでませんでした。
脚のケガの影響で三週間近くの断酒中で、旅行の日はさすがに飲むには飲んでましたが通常時に比べれば微々たるものです。
師匠が前座の時分、お酒が原因で23回破門されたエピソードをテレビで披露する度、それがネットニュースになり、「好楽さんはアル中なんじゃ」といったネットの意見を散見するのですが、断言出来ます。
アル中ではありません。
ただ人よりだいぶお酒が好きでただ肝臓がだいぶ頑丈なだけです。
正直僕も師匠がお酒断てることにびっくりしましたが。

うちの師匠はまだ売れてない若手の頃から仲間をうちに呼んで宴会をしていたそうですが、酔って暴れたとかケンカをした、というエピソードは聞きません。
23回破門されてはいますが、わりあいきれいな飲み方だったんでしょうね。
酒のうえでのしくじりは結構許される好楽一門ですが(笑点特大号の花見の収録で司会を任せれ緊張のあまり飲み過ぎて収録後半使い物にならなくなりしのぶ亭の高座で寝ちゃったりもどしちゃったりした満堂兄さんとか)、時代の流れでそういうことも許されなくなる日も案外近いのかな、と思い始めてます。

ここ数年で吉原のネタは結構やりづらくなってると聞きます。
吉原が分からないというよりも『女を買う』ということに対するお客様の忌避感が強くなっているようです。
僕自身、吉原関連のネタは何席か持ってはいますがいまいち噺と現代の距離感がつかめずほぼやらなくなりました。
「昔は吉原なんという結構な場所がございまして」という枕からたいてい噺に入りますが、それも男目線すぎるのでカット。
ポリコレがどうこうというかお客様(特に女性)が笑えなくなってる現状があります。
昭和の落語の音源を聞いてると現在から見たら差別的だったり暴力的なことでもみんなゲラゲラ笑っているので、ちょっと異国の文化みたく感じることもあります(笑)

ちょっと前までは社会的にざっくりと許容されてたこと、ただ誰かしらの人権を侵害していたことなんというのはどんどんと許されなくなっているのでしょう。
タバコも副流煙があるのでダメになりつつありますね。
ですから社会がクリーンになるとお酒でのしくじりなんというのも情状酌量の余地も無く、断罪されるのかも知れません。
後世の演芸ファンには「酔っぱらってケガをして正座出来ないなんて三遊亭好楽はプロ意識に欠ける!」などと評価されるかも。
もしかしたら現代でも言ってる方はいるかもしれませんが(笑)
人間のダメなところを楽しむ落語という芸能が今後メインストリームになる可能性は薄そうですが、多様性という意味でも落語を聞いても目くじらたてず「こんな人いるよな~」と笑ってもらえましたら幸いです!

うまく正座が出来ないので座布団をもう一枚お尻に挟んで座る師匠好楽うまく正座が出来ないので座布団をもう一枚お尻に挟んで座る師匠好楽

お知らせ

三遊亭ぽん太の月例落語会

三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.44 演目:双蝶々後編、他
日時・3月2日(土)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U29割1000円、ぽん太初めて割500円
予約、問合せ・pontathe2nd@gmail.com

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三遊亭ぽん太
  • 三遊亭ぽん太
  • 落語家
  • 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて140席以上ある
  • ぽん太さんのHP
    https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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