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三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

2022年06月20日

連載10 「子どもと落語その2」

梅雨入りしましたが、うちの最寄りのコインランドリーが閉店して不動産屋になり、かなり困っているぽん太です。
さて前回のコラムの中で【子ども向けの落語】という表現をしましたが通常の落語と何が違うのかよくわからないというご意見を頂いてないのですが、せっかくなので解説したいと思います。

我々の世界でよく言われる格言に『芸人に上手も下手もなかりけり 行く先々の水に合わねば』というものがあります。
要約しますとどんなに名人と言われる人でも、その日その日のお客様に合わなければ意味がない、ということです。
寄席は基本的にどのネタをやるか決まってません。
そして日によってお客様の雰囲気が全然違います。
笑いにきてるのか、じっくり聞きたいのか、寝にきてるのか、色々です。
またその日の天気にも左右されますし(雨の日は雰囲気が重いことが多いです)、また出順によって役割も変わってきます。
様々な条件を加味しながらその日にかけるネタを決めるのです。

真打ちの師匠方はたくさんのネタをお持ちなので余裕がありますが私のような若手はまだ覚えたてのネタを試したいという時が多々あります。
ただそのネタがちょっとシットリとした笑いの少ないネタだった時に前の演者がウケててくれるとやりやすいのですがめちゃくちゃスベって帰ってくると予定を変えて笑いの多いネタに変えて客席を暖める、なんて日も。
偉そうに書きましたが、助けてもらうことももちろんあります(笑)
そうやってどんなネタがお客様に合うのか考え、最近やってなかったネタを無理矢理思い出してるやったりする、そんな試行錯誤が我々の修行になっています。

で、子ども向けの落語ですが、複雑な言葉や用語が出てこない、吉原などの色っぽいものはNGなどネタのチョイスにはたくさんの制約があります。
やっちゃいけない訳ではないですが最初の格言にある通り初めて落語に触れる子たちにまず楽しんでもらわなければいけませんので、小難しい落語マニア向けのネタはまず除外します。
また分かりにくい言葉をちょっと現代風にしたり演出も過剰になり下がかったネタだとその単語をかなり強調したり。
私の場合は顔芸を多用します。
なので小学生向けの会が続いた後に通常の寄席などに出るとその癖が抜けず「芸がくさいね」と言われたりもします(笑)

そんな感じで時々の現場によって大なり小なり演出を変えたりしながら日々の高座に取り組んでいます。
これはどんなご商売でも顧客のことを考えるという意味で通じることだと思いますし、前座の楽屋仕事も師匠方がどうしたら気持ちよく過ごして高座にあがって頂けるか考え察するものだったので実際の高座にもこのように繋がってきます。
うまくいかない日もありますが我々二ツ目の若手はこのトライ&エラーがまだ許される身分なので、もしスベってる時があっても鴨の水掻きじゃありませんがもがいてる最中だと温かい目で見て頂ければ幸いです。
いつもこんな言い訳ばかりしてる気がしますが(笑)
ではまた来月!

三遊亭ぽん太東京落語四派からなる二ツ目ユニット・ちょちょら組での一枚

お知らせ

三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.30
日時・6月24日(金)19時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円
予約、問合せ・pontathe2nd@gmail.com

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三遊亭ぽん太
  • 三遊亭ぽん太
  • 落語家
  • 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて140席以上ある
  • ぽん太さんのHP
    https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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