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2018年06月28日

「花は大事な思い出連れて 老の心に灯をともす」2018年5月入選作品|老友都々逸

老友新聞2018年5月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)

天の位

花は大事な思い出連れて
老の心に灯をともす

大石 志津江

花と言えば梅の時代もあったが平安以降は桜。ことに戦さき乱の世、鎌倉時代。そして「先の大戦」。「大事な思い出」とぼかしたところにこの歌の広さと優しさがある。

地の位

日本列島ガブリと呑んで
春の嵐が吹き荒れる

松本 タケ

春嵐は(ハルアラシ)とも(シュンラン)とも読み、前者は「春先に吹く強い風」で、後者は「2月から3月にかけて吹く南風、つまり春一番」のこと。ここでは当然前者。

人の位

早くおあがり湯気までよそう
母の面影鍋の中

向井 智恵子

湯気までよそうようなお母さんの「早くおあがり」の言葉の響きの温かさ。「鍋の中」の取りようによっては読み手に全く違ったイメージを与えるが、この作はこれでいい。

十 客

多発不祥事 政界人の
法の調査の重い腰

惣野代 英子

国民としては法の公正と厳しさを望んでいます。いらいらしています。しっかりやって下さいよ!

仔牛生まれる牛小屋先に
捩り鉢巻 卸す雪

王田 佗介

結句で詞の状況が鮮明になり、捩り鉢巻の理由も上の句からの流れもよく解り、見事な場面描写になりました。

梅見帰りか水戸納豆を
下げてホームの老夫婦

飛田 芳野

偕楽園の梅と過ごしてお土産の水戸納豆を下げた御夫婦。理想の御夫婦の姿がホームに立っていますね。

桜咲いたよみんなでおいじょ
すごくけっこいけっこいよ

岡本 政子

方言をどう詠み込むかの工夫と努力をしていることが尊いと思います。

人が乗られる氷が張って
神もうれしい御神渡り

三橋 ユキ

諏訪湖一面に張った氷の亀裂現象を御神渡り(おみわたり)と言います。地球温暖化でなかなか現れませんが、今年は5年振りに出現したそうですね。初句を再考して下さい。

梅川忠兵衛封印切って
恋を貫きいそぐ旅

天野 照華

今年の新国立劇場で「近松心中物語」(堤真一・宮沢リエ・池田成志・小池栄子ほか)を観劇しました。醜い金銭の呪縛が綾なす、遊女梅川と飛脚屋亀屋の養子忠兵衛の純愛・心中の旅で、大阪から雪の大和の新口村(にのくちむら)へ、ですね。

野菜高騰切り売りしてる
丁度ぴったり老い一人

鈴木 曻

憂き世茶にする高踏派の御了見。自虐が読者を魅きつけます。

シニアタレント私も出たい
ボケた役なら御手のもの

山田 浩司

テレビを見ながら(オレならもっと上手くやれるのに…)と歯痒いのですね。

指を丸めて小金(こがね)の無心
幾つになっても寄生虫

福田 浩明

きつい言葉の寄生虫はご自分? ご身内?

庭の日溜まり見事に咲いた
嫁に感謝の桜草

高木 まつ

投稿5章中で文語の匂いの無いこの作を採りました。都々逸はこのように日常語・話し言葉で作詞して下さい。

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