老友新聞2022年8月号に掲載された川柳入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天　位

節電を呼び掛けながら電動車

王田　佗介

電動車を増やして行く政策が唱えられる一方で、節電呼び掛け。政治の矛盾を正面から突く、川柳の王道を歩む作品は読んで心地いいですね。

地　位

電話勧誘難聴のふり難のがれ

阿部　良子

言葉巧みに勧誘してくる電話に、高齢者はつい乗せられがち。そんな中、難聴のふりをする工夫が身を守るとは、皆さんの参考になるのでは。

人　位

旬の味忘れてしまう冷凍庫

田中　和代

冷凍庫に保存した食材は、便利である半面、旬というものを忘れてしまうという自戒。機械に流されない暮らしを大切にする姿勢がお見事です。

五　客

すぐ真似る素直な孫の目がこわい

山路　義隆

大人を何でもそのまま真似てみる、そんな幼児特有の行動をするお孫さんを、敢えて「こわい」と表現する思い切りに拍手。

耳遠く議決の挙手に空気読み

本庄　一郎

賛否の根拠となる議論がよく聞こえなくて議決になった時、つい周りに合わせてしまう状況を、鋭く観察していますね。

鯉跳ねて湖面の月を散らしけり

鈴木　とく

意外性のある場面を俳句のように文学的表現で切り取って描写。鯉に対して感情を露わにしない態度が句を引き立てます。

友逝きし空の青さよクレマチス

倉澤　登美子

友人の訃報を聞き、見上げる空の青さが胸に沁みる心情が切ないですね。花の「クレマチス」で締め、余情を誘います。

友が居る世界を繋ぐオンライン

森井　睦子

今や高齢者もインターネットを駆使してやりとりする時代。居ながらにして交流が図れる喜びが伝わって来ますね。