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2023年06月07日

「人力車夫韋駄天走りで過ぎて行く客のふたりのかんざし揺れて」2023年6月入選作品|老友歌壇

老友新聞2023年6月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)

一 席

人力車夫韋駄天走りで過ぎて行く客のふたりのかんざし揺れて

坪内 榮子

家族で京都に旅行されたそうです。日焼けした人力車夫の逞しさと、着物姿の女性のやわらかな印象が対照的。結句「かんざしゆれて」の言いさしも効果的です。

二 席

浮雲はどちらに行くか決めかねてただ浮いている朝明けの空

岸 慶子

「ただ浮いている」が秀逸です。日常のありふれた光景を、作者の独自の視点で思いのままに描写しました。

三 席

雨上る木々の雫の光りたる街に柳の芽吹くその先

櫓木 香代子

結句「その先」が気になります。「その先」の春の景色を暗示しているのか、それとも何か他にあるのか、などと読者に様々な想像をさせます。

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