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医療と健康

2020年10月30日

特定の音が聞こえなくなった。難聴か、それとも認知症か?

携帯のベルだけが聞こえない…

70歳の女性です。私の主人の症状についての相談です。

私の主人は、最近、耳が聞えにくくなったようなのですが、普通の人とは少し違う気がするのです。

それは、私と向き合って、普通に会話をしている時には何ともないのですが、携帯電話のベルの音が聞こえないというのです。自分のポケットに入っているのに、私が「携帯鳴ってるよ」と教えてあげないと気がつきません。

高齢になると耳が遠くなるということは分るのですが、特定の音だけ聞こえにくくなることがあるのでしょうか。それとも認知症の始まりなのでしょうか。

答え

老人性難聴の特徴 高い音が聞こえにくくなる

今回はご主人の耳が聞こえにくくなったという方からのご相談です。

ご本人がおっしゃるとおり高齢になると、老人性難聴といって耳が聞こえにくくなります。耳の奥には内耳といわれる音を感じる器官があるのですが、そこが老化によって組織も古くなり、音が聞き取りにくくなるのです。これは程度の差はあれ、誰にでも起きてくるものです。

ご主人の場合、特定の音だけ聞こえないという事ですが、老人性難聴は高い音が聞きにくくなるという特徴があります。そのため、例えば言葉の五十音の中でも、さ行、は行、か行などが聞き取りにくくなり、たとえば7時(しちじ)を1時(いちじ)に聞き違えたりすることがあります。ご主人がお使いの携帯電話のベルが、高い音で鳴るために聞こえにくいのかもしれません。

また、認知症の心配もされているようですが、たしかに年齢が上がると反応が鈍くなり、聴力以外にも様々な問題が出てきます。ですが、音が聞こえているときの反応に問題がなければ大丈夫かと思います。

注意しなければならないのは、難聴の症状が急に進んでしまったようなケースです。このような場合には、中耳炎のような耳の病気が原因の可能性もあります。また、高齢者の場合、耳垢がたまることで耳栓のような状態となり、それが聴力障害の原因となることもあります。一度は耳鼻科で耳の状態をチェックしてもらった方が良いでしょう。

また、人間ドックでは聴力検査を行いますが、その場合には千ヘルツと4千ヘルツの二種類の音について、それぞれ聞こえるかどうかを検査いたします。老人性難聴の場合、4千ヘルツの高音領域の方が先に聞こえにくくなりますので、ご自身の検査結果でそういった兆候があれば、老人性難聴によるものと予測できるわけです。もちろん、老人性難聴の病状が進行している場合には、高音域だけでなく全体的に聞こえなくなってきます。もし聴力検査で千ヘルツの低音領域まで聞こえないような場合、日常会話も聞こえなくなる可能性があります。その場合、一度悪くなってしまった老人性難聴は治療薬などが無く回復は難しいため、補聴器でサポートをしたりすることが必要になるでしょう。

もうひとつ、騒音が避けられないような場所で仕事をしている人、例えば大きな音を発生させる機械のある工場などで働いている場合には、騒音性難聴というものもあります。いわゆる職業病のようなものですが、そういった騒音のある場所で働いている人には、騒音健康診断といって、聴力検査が義務付けられています。この騒音性難聴は老人性難聴と進行が重なる場合もありますので、ご主人が過去、騒音の大きな場所で働いていなかったかどうかも、念のため調べてみると良いでしょう。

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高谷 典秀 医師
  • 医療法人社団同友会 理事長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック健診協会 理事

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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