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医療と健康

2020年07月07日

夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」は生活習慣の乱れ、うつ病の場合も。

夜中に目が覚めてしまい、それ以降寝付けない…

 

74歳の女性です。睡眠についてなのですが、最近、朝目覚める時間がとても早くなってしまいました。
朝の3時に目が覚めてしまい、そのまま布団の中でもう一度眠ろうとしても、寝付けません。仕方なく4時くらいに起きだして朝食の用意や洗濯などを始めます。
逆に夜は眠くてたまりません。7時には眠くなってしまい、夕食も眠さをこらえながら食べ、8時には布団に入ります。
夜中にも時々目覚めてしまい、そのあとはなかなか寝付けません。なにか良い方法はありますでしょうか。

答え

加齢による中途覚醒か、うつ病の場合も

 

今回は睡眠について、非常に朝早く目が覚めてしまうとのお悩みがある方からのご相談です。

年齢を重ねるにつれて、目覚める時間が早まってしまうということは一般的にもあることです。それだけで病的な問題と断定することはできませんが、夜中にも時々目が覚めてしまう中途覚醒といわれる症状もあり、その後もなかなか寝付けないということですから、その点では不眠症と言えるかと思います。

そもそも睡眠というものは健康を維持するために不可欠なものです。不眠症とは、睡眠の量、あるいは質的にも、どちらかでも不足があり、そのために何らかの支障が発生して、本人がつらい状態をいいます。非常に睡眠時間が短い方でも、日中元気で、とくに問題がない場合には不眠症とは言いません。

原因としては、まずはうつ病を中心としたメンタル疾患を考える必要があります。元気がなくなって、やる気も起きない、かつ不眠症が出てきた場合、典型的なうつ病のサインですので、早めに精神科を受診された方が良いでしょう。その他にもストレスや環境の変化、また、夜勤の仕事をされているなど、生活のリズムの乱れによって、どうしても安定した睡眠が保てないという事も原因となります。さらに、一度不眠症になってしまうと、眠らなければいけないという心配から緊張感が高まり、よけいに眠れなくなってしまう事もありますので、不眠症に対する過度な不安も改善していかなければなりません。
このような不眠症も含めて、睡眠に係る何らかの異常がある状態を睡眠障害といいます。たとえば、長い時間寝たと思っているのに、睡眠の質が悪く、実際には身体が眠れていなくて、日中の活動に支障を来してしまうこともあります。これは睡眠障害と言えるわけです。このような原因としては、最近よく注目される睡眠時無呼吸症候群などがあります。寝ている間、一時的に呼吸が止まってしまい、血中の酸素濃度が低くなってしまうので、睡眠の質が落ちてしまうのです。

不眠症への対策としては、これら原因への対応が第一になりますが、ご自身でできる対策としては、日中しっかりとした運動や規則正しい食事を心がけたり、カフェインの入っているお茶やコーヒーを控えること、眠る前にお風呂に入ってリラックスするなど、生活習慣の改善を心がけることも大切です。
また、眠る前にお酒を飲んで眠りやすくするという方もいらっしゃると思います。晩酌として、少量のお酒を飲まれるのでしたらば構いませんが、アルコール自身が睡眠の質を低下させることも指摘されています。眠るためにお酒の量が増えていったり、お酒無しでは駄目というような状況の場合、アルコール依存症や肝機能障害などを引き起こす心配もありますので注意が必要です。

どうしても不眠症が改善せず、つらい状況が続くようであれば、睡眠薬の力を借りる事も一つの方法です。その場合は適切な処方が必要ですので、一度医師に相談をしてみてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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