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2020年12月17日

これって物忘れ?それとも…。認知症の種類や診断法について

74歳の夫の物忘れが激しい。改善策は?

68歳の女性です。74歳の主人の物忘れの症状について教えてください。
以前より主人は物忘れが多いと感じておりました。人の名前が出なかったり、私と約束していた予定を忘れたりがしょっちゅうでした。ですが歳が進めば物忘れも当たり前、私も人のことはいえないと考えていました。
ところが最近では症状がひどくなったようで、今食べたばかりの夕食の内容を思い出せなかったり、自分が店で買ってきた品物を「これは何?」と質問したり、私が何か話しかけても返事をせず、聞こえないふりをしたりするのです。もちろん耳は悪くありません。
身体の方は元気なのですが、物忘れを食い止める方法はあるのでしょうか。

答え

老化現象か認知消か…「機能評価」検査を受けましょう

今回は、ご主人の物忘れが多くなったという事でご心配されている方からのご質問です。
認知症の患者数は、65歳以上の人口の8~10%程度で、これから益々増加すると言われており、社会全体で取り組む必要のある問題となっております。
あなたのご主人の場合も、症状と年齢を加味しますと、やはり認知症の可能性を考えなければなりません。
認知症は、以前は痴呆とも呼ばれていましたが、それまで元気に過ごしていた方が、徐々に記憶力や判断力が落ちてきたり、人によっては人格も変わったりするような症状が現われます。

しかし、一口に認知症といっても、その原因には様々な種類があります。中でも最も多いものがアルツハイマー型認知症というもので、皆様も名前は聞かれたことがあると思います。また、生活習慣病で動脈硬化が進行し、脳梗塞が起きたりすると、脳が障害を受け、認知症の症状が現れてしまう血管性認知症というものもあります。さらに最近では、レビー小体型認知症と呼ばれるタイプの認知症も多い事が知られるようになり、これらを合わせて三大認知症ということもあります。

認知症の症状は様々なものがありますが、その中でも記憶障害、いわゆる物忘れ、は中心的な症状です。ただし、ある程度ご高齢であれば、誰にでも物忘れはあるものです。人の名前が思い出せないなど、ちょっとした物忘れだけで認知症と決め付けるのは早計です。ただの物忘れなのか、あるいは病的な物忘れなのかどうか、まずはきちんとした検査で調べる必要があります。

認知症の診断は、まず様々な質問等を行うことで、記憶力などの認知機能を評価する神経心理学検査が主体となります。さらに、CT検査やMRI検査、PET検査といった画像診断により、脳の状態を調べることで認知症の原因診断をサポートする事ができます。認知症の原因となる脳の病気の中に、慢性硬膜下血腫というものがありますが、これは、頭を軽くぶつけるなどした数週間から週カ月後に、硬膜という脳を包む膜と脳の間に徐々に血液がたまり血腫となってしまう病気です。この病気では様々な神経症状が出現しますが、認知症状が主な症状となる場合もあり、アルツハイマーなどの認知症と間違われてしまうこともあります。しかし、画像診断で適切に診断すれば、手術で血腫を除去することで治療ができるので、治療可能な認知症ということができます。

また、アルツハイマー型認知症は、脳の神経に「アミロイドベータ」という物質がたまることが原因といわれていますが、最近では、PET検査でこのアミロイドベータのたまり具合が調べられるようになっています。原因となっているアミロイドベータを溶かすような薬を用いて、治療が行えないかという研究も欧米を中心に進んでおり、完成が望まれております。

あなたのご主人の場合でも、もしかしたらまだ認知症というレベルではなく、少し物忘れが多い程度かもしれません。まずは認知症かどうかの診断をきちんと受けください。もし認知症であっても、症状の進行を遅らせることができる可能性のある薬も開発されており、処方を受けることができます。

認知症というほどではなかったとしても、物忘れというものは老化現象の一つですので、なかなか改善するということは難しく、うまく付き合っていく以外にありません。とくに火の元の管理や、自動車の運転をされる場合にはくれぐれも注意してください。

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高谷 典秀 医師
  • 医療法人社団同友会 理事長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック健診協会 理事

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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