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2021年08月13日

抗がん剤の副作用とは?

家内が抗がん剤で吐き気。食欲も無く痩せていく…

68歳の男性です。62歳の家内について質問です。
家内は2年前に乳がんの手術を行いました。幸いにして転移はなく手術は成功しましたが、手術の後も、再発予防ということで抗がん剤の治療を続けています。
もう一年近く抗がん剤の治療を続けているのですが、その間、抗がん剤の副作用に悩まされています。吐き気や胃のむかつきのため食欲がなく、少しずつ痩せていくようです。
抗がん剤の副作用というのは、どれくらい長く続くものなのでしょうか。このまま様子を見続けてよいものか、それとも副作用を抑える方法があるのか、教えてください。

答え

副作用抑える薬を使いつつ
できるだけ治療継続を

今回は奥様が乳がん手術後に抗がん剤の治療を受けているという方からのご相談です。

抗がん剤はがんの治療に用いられる薬ですが、その使われ方は様々です。手術をする前にがんを小さくするために用いることもありますが、今回のご相談のように、手術の後に抗がん剤を使用することもあります。手術でがんを全て取り切ったと思われていても、僅かに残った微小ながん細胞が血液やリンパの流れに乗って、別の臓器に転移してしまうことを防ぐためです。

抗がん剤による化学療法は、外来で飲み薬を処方して継続的に使用する場合や、定期的に注射をしたりする場合など様々です。特殊なものでは、カテーテルという細い管を身体の中に埋め込んでおき、必要なときにそこから体内へ薬を注入するという方法もあります。
最近ではどのようながん細胞に対し、どのような抗がん剤が効果を発揮するのか、遺伝子検査によって事前に調べることもできますので、より有効な抗がん剤を選択することもできます。

しかしながら抗がん剤は、がん細胞だけではなく正常な細胞にも害を与えてしまうため、どうしても副作用が出るものです。
個人差はありますが、一番多いのは吐き気などの消化器症状、脱毛、白血球減少などです。

なぜこのような症状が出やすいかを説明しますと、そもそも抗がん剤はがん細胞と正常な細胞を判別して攻撃するわけではありません。がん細胞は正常な細胞に比べて増殖が盛んで、そのような細胞に対して攻撃を加えるものなのですが、正常な細胞であっても増殖が盛んな部分があり、抗がん剤はそれらも攻撃してしまうのです。
消化管の粘膜細胞、髪を伸ばすための毛根、そして血液中の血球は日々骨髄によって作られています。そのため、こういった活発な細胞部分に副作用が出やすいのです。

抗がん剤の使用からどれくらい期間が経過しているかで、生じる副作用も異なります。1週間以内に出やすいのは食欲不振、吐き気、だるさ、全身倦怠などで、その後1~2週間後くらいは口内炎や白血球減など。脱毛などはもう少し後で4~5週間後が多いです。

抗がん剤の治療期間はがんの種類や病状によって幅があるもので、ある程度短い期間だけ行う場合や、長期的に続けなければならない場合もあります。
できるだけ抗がん剤の治療を継続できるよう、副作用への対策としては、吐き気止めを使ったり、白血球が下がると免疫力が低下して様々な感染症を起こすため、採血で白血球がどの程度下がっているかをチェックして、あまり減少しすぎている場合には、白血球を増やす薬も用います。

手術後に抗がん剤を使用することで、がんの再発を抑えたり死亡する確率を低下させたりすることができるのは様々な臨床研究によって明らかになっていますので、主治医が薦める場合には、やはり可能な限り抗がん剤治療を続けるのが良いと思います。主治医の先生と相談をしながら、対策を練っていただきたいと思います。

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高谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 /医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック健診協会 理事

    日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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