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医療と健康

2021年10月29日

バリウムを飲んだ後、便が出にくくなる…改善方法は?

バリウムを上手く出せないので検査が不安です

 66歳の男性です。毎年、市のがん検診があり、今年もそろそろ受診をしようと思っておりますが、バリウムの検査がとても不安です。
 昨年、バリウム検査を受けたとき、バリウムの便がなかなか出ませんでした。当日は検査後に下剤を飲み、医師の言うとおりに多めに水分をとったのですが、翌日になってもまだバリウムは出ず、次の日、ずっと横腹がひきつるように痛く、辛い思いをしました。
 結局は無事に出たのですが、今年はもうそんな思いはしたくありません。
 バリウム便が出にくいのは体質なのでしょうか。それとも、なにかコツがあるのでしょうか。

答え

こまめな水分摂取。内視鏡検査へ切り替えも。

今回はバリウムを使った胃部X線検査の後に便がなかなか出なくて、お困りになったという方からのご相談です。

バリウムは、X線を透過しないという性質から、胃などの消化管を撮影する際の造影剤として昔から使用されています。高い安全性を持った造影剤ですので、長年がん検診などで使われておりますが、固まりやすいという特徴もありますので、人によってはバリウムを飲んだ後に少し不快な思いをする方もいると思います。バリウムがなかなか排泄されずに腸の中に長く留まってしまうと、腸閉塞を起こしてしまったり、大腸炎や憩室炎といった大腸の炎症を引き起こすこともあるので注意が必要になります。

通常は、下剤を飲んだり多めの水分をとることで、早めにバリウムを排泄することができますが、ご高齢の方の場合、もともと消化管の運動機能が低下しております。昨年そういった思いをされたのであれば、今年はより一層、便の排泄については注意を払う必要があります。

また、胃部X線検査でもう一つ注意しなければならないのは誤嚥の問題です。バリウムを飲み込むときに、間違って気管に入り、むせてしまう人がいます。通常は誤嚥をしても、すぐの場で咳などをしたりして、外へと排泄できればほとんど心配ありませんが、誤嚥の量が多いと、人によっては肺炎を起こしてしまうこともあります。

バリウム便を出すコツがあるかというご質問ですが、しっかり下剤を飲むということと、多めの水分をとってバリウムを薄めていくことになります。まずは昨年よりも下剤の量を増やし、水分も、なるべく検査が終了して、すぐに飲むことが大切になります。また、少し体を動かすことで、腸の動きも活発になることもありますので、ウォーキングをはじめるのも良いでしょう。

年齢と共に胃部X線検査の受診が難しくなるようでしたら、内視鏡検査に切り替えるというのもひとつの選択肢です。最近の胃カメラは鼻から実施したり、細い内視鏡を使用したりすることで苦痛を低減できるようになっています。バリウムが苦手な方は胃カメラを選択するのも選択肢のうちのひとつですので、お近くに内視鏡検査が行える施設があれば、受診してみるのも良いでしょう。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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