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2018年05月29日

「健康経営」をリードする経営者・産業医・行政が集い、語る!健康と経営を考える会シンポジウム開催~丸井グループ青井氏・日本航空藤田氏らも講演

「これからの産業保健や保健事業について、既存の枠を超えて、もっと前進させる方法はないか」

予防医療や産業保健に携わる発起人が検討し平成25年5月に設立した「健康と経営を考える会」の、第5回目となるシンポジウムが5月22日(火)に神保町の一ツ橋ホールにて『健康経営・データヘルスで国・会社・家庭を変える!』をテーマとして開催された。

衆議院本会議で「働き方改革関連法案」が与党など賛成多数で可決され、大きな動きを見せている。労働人口不足や長時間労働の問題を解消し、労働生産性の向上を目指すためには、従業員はもちろん、企業そのものが「健康」な状態であることが前提となる。安倍内閣が掲げる「働き方改革」を進めるには「健康経営」も切っては切れないものである。

今回のシンポジウムでは、業界を代表する企業のトップや産業医、そして経済産業省、厚生労働省など官民が一堂に集い、基調講演やパネルディスカッションなどが行われた。

 

「社員の自主的参加が重要」丸井グループの取り組み

まず『すべてのステークホルダーと共にしあわせを創る -丸井グループの価値共創経営-』と題して株式会社丸井グループ代表取締役社長 青井浩氏と、株式会社ミナケア 代表取締役の山本雄士氏とのインタビュー形式による基調講演が行われた。

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丸井グループが働き方改革として真っ先に取り組んだものが残業の削減と女性管理職比率を向上させたこと。この2つを取り組んだうえで、さらに健康経営を推進させた。
健康経営は、単に社員を病気にさせないということ(ディフェンス)だけではなく、健康な人も含め全ての社員を対象に、今よりも活力があり生産性を高めること(オフェンス)を目指し、取り組みは会社からの強制ではなく、全て社員の自主性のもとで行われたという。

 

「新たな価値創造」を語る!

第一部は『「新たな価値創造」を語る!』をテーマに、経営者の立場として日本航空株式会社 副社長 CWOの藤田直志氏が、産業医の立場として産業医科大学産業生態学研究所 作業関連疾患予防学 産業衛生教授の浜口伝博氏が講演を行った。行政からは経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課長の西川和見氏と厚生労働省 保険局 保険課長の安藤公一氏からのショートプレゼンテーションがあり、その後、株式会社ミナケア 代表取締役の山本雄士氏がモデレーターを務め、丸井グループの青井氏を交え6名にてディスカッションが行われた。

 

JALグループでは健康施策として2016年より「生活習慣病対策」「がん対策」「メンタルヘルス対策」の3つを、さらに2017年からは「女性の健康」と「たばこ対策」を加えた5つの重点項目を新たな挑戦として実施している。その際、副社長の藤田氏自らが健康経営責任者として先頭に立ち、ウエルネスリーダーを中心とした職場単位の取り組みと部門長の支援、このトップダウンとボトムアップの両輪によって推進をしているという。

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産業医大学の浜口氏は「従業員一人一人が企業の財産である。その財産を守るには、これまでのように従業員の健康状態をみるだけではなく、『どうすれば従業員が幸せになれるのか』という部分にまで産業医の担う役割を広げるべきであり、その為には産業医自身も今以上に学ばなければならない」と話した。

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価値創造の成功事例から学ぶ!

第二部では企業や健康保険組合がどのような取り組みを行い結果を出してきたか、ディスコ健康保険組合 常務理事の小沼久実子氏、味の素株式会社人事部労政グループ シニアマネージャーの小林修氏、SCSK株式会社人事グループ ライフサポート推進部長の篠原貴之氏から具体的な事例報告があり、その後、主催者代表 医療法人社団 同友会 理事長の高谷典秀氏がモデレーターを務め4名にてディスカッションが行われた。

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「働き方改革と健康経営を最初にどのように導入したのか」
「従業員一人一人が自発的に、楽しんで健康経営に取り組み、かつその成果が実感できなければならない」
「特定保健指導の受診率を上げるには健康保険組合と連動で勧奨することと、受診しやすい環境を企業側で用意することが必要」
などの議論が交わされた。

 

健康経営の推進に向け、その触媒としての活動を続ける「健康と経営を考える会」が主催するシンポジウム。企業・健保関係者や健康経営に興味を持った一般の方など、800名もの方が熱心に聴講した。

健康経営を名ばかりのものではなく、結果を出し、そして根付かせるためには、企業トップ自らがその意思を内外へ明確に宣言をし、企業独自の施策を継続的に行い続けなければならない。そして従業員一人一人がその意味・重要性・意義を理解し、納得の上で実行されることが不可欠であるということが今回のシンポジウムより伺えた。さらに健康経営の取り組みの具体的事例を紹介するプレゼンテーションも盛り込まれ、大変充実した内容となった。(老友新聞社)

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