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医療と健康

2022年03月01日

疲れやすい、食欲不振、声のかすれ等の症状は甲状腺機能低下症か?

妻が元気なく、食欲もなく辛そうです…

65歳の男性です。62歳の家内の症状について教えてください。
近頃、家内の表情が暗くて元気がありません。何をするにも覇気がなく、やつれてしまったように感じます。
本人に聞いてみると、疲れやすくて食欲も落ちているそうで、そのほかにも便秘をしたり、皮膚が乾燥してカサカサするそうです。声もかすれて張りがなくなっているような気がします。家事をするのも休み休みで辛そうです。
風邪を引いているわけではないようですが、こんな状態がしばらく続いているので、なにか重大な病気ではないかと心配になります。家内の不調の原因がわかりますでしょうか。

答え

メンタルか、あるいは甲状腺機能低下症の疑い

今回は奥様の元気がないというご相談をいただきました。
ご相談の内容を拝見しますと様々な症状が出ているようですが、このような食欲低下、疲れやすくなったという症状は、あらゆる病気で出てくるものですので、この症状だけで診断に結び付けるということは難しいです。

こういった症状は、内臓疾患からくる場合もあれば、メンタル系の疾患からくる場合もあります。例えば、うつ病があれば食欲が低下したり、疲れやすくなったりするということも当然現れてくるものです。
このようなメンタル面での不調がないかどうかも大切な要素になりますし、さらに内臓系の疾患も含めて考えますと、多くの病気でその病状が進行した際、食欲低下や疲労感といった症状が出てくるので、がんなど重篤な疾患を含めて全身的なチェックが必要になってきます。

様々な疾患の中でも、特に女性にこのような症状が出た場合に確認した方がよい事として、甲状腺機能の低下というものがあります。
 甲状腺というのは、首の前側に付いている、甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。このホルモンが非常に多く出るものが甲状腺機能亢進症で、ホルモンがあまりでなくなるのが甲状腺機能低下症です。
甲状腺の異常は女性に多く認められ、とくに甲状腺機能低下症では、今回のご相談のように疲れやすさや食欲の低下、そして便秘、体重の増加、声のかすれなどの症状が特徴とされています。

診断は比較的容易です。採血を行い、甲状腺やそれに関連するホルモンの値を調べることで診断することができます。もし甲状腺機能低下症と診断された場合には、甲状腺ホルモンを飲み薬で補っていただくことで改善します。
採血で簡単に調べられる病気ではありますが、一方で日常の診療の中では見逃されやすいものです。消化器系の症状が強ければ消化器の病気と思われたり、精神疾患などにも間違われてしまうことがよくあるので、必ずホルモンのチェックを行って確認をした方がよいでしょう。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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