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医療と健康

2022年01月25日

咳払いをすると黄色っぽいネバネバした痰がでる

風邪を引いて咳と痰だけがいつまでも治りません

(本稿はコロナ禍前に本紙に掲載されたものです)
72歳の女性です。喉に絡む痰について教えてください。
2か月ほど前に喉の風邪をひきました。その時は咳と痰の絡みがひどかったのですが、市販の薬を飲んで治りました。
ところが今になっても咳が続き、痰の絡みも治りません。咳払いをすると黄色っぽいネバネバした痰がでます。喉の痛みや熱はないのですが、咳と痰だけがいつまでも治らないのです。
痰を切るために咳ばかりしていて、今は胸が痛くなる程です。これはただの風邪ではなく、何か他の病気だったのでしょうか。たばこを吸いますので、肺がんが一番心配です。

答え

細菌感染で肺炎になることも…早めの診断を。

今回は痰の絡みがなかなか治らないという方からのご相談です。2か月ほど前に一度風邪をひかれ、その症状は落ち着いているにもかかわらず、咳に加えて痰が続いているということです。

痰は、その量や質が重要で、とくに色は注意して見ておく必要があります。たとえば、白っぽくてサラサラしたような痰であればあまり心配はないのですが、今回のご相談のように黄色っぽいという場合には細菌感染が疑われます。

ウイルス感染による通常の風邪ならば、色のついた痰はあまり出ませんが、そこに細菌感染がある場合、痰に色が付きます。風邪を引いた後で、喉の炎症が治っていない上に、細菌の感染が併発して気管支の炎症が続いているということも考えられます。
場合によっては、感染が広がり肺炎になることもあります。肺炎になると通常発熱を伴うのですが、ご高齢の方の場合には熱が出ないケースも多いため、注意が必要なのです。

細菌感染が考えられる場合には、抗生剤の投与で治療することになります。治療せずにそのまま放置されますと、さらに感染が広がることもありますので、早めの診断が重要になってきます。
また咳が出ている場合には、やはりタバコを止めるということが大切です。タバコは気管へ刺激を与え、それだけでも痰の症状が出てしまいますし、細菌感染に対する防御機能を鈍らせてしまうこともありますので、まずはタバコを止めるということが治療の大前提です。

それ以外の原因としてはご本人が心配されている通り、肺がんの場合でも痰が出ます。とくにタバコを吸われているので、やはり一度、胸のX線撮影や、より精密に調べるために胸部CT検査を行うと良いでしょう。肺炎や肺がん、あるいは稀ですが結核が潜んでいる事もありますので、それらを調べる必要があります。

また肺の病気でない場合には、副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症の可能性もあります。鼻水が鼻からでることを「鼻漏(びろう)」といいますが、これが後ろ側の喉の方に流れると「後鼻漏」といいます。副鼻腔炎ではこの後鼻漏によって、咳や痰の絡みがあるような感じがするという場合もあるのです。肺に何も異常がない場合には、耳鼻科で喉や副鼻腔の検査をしていただくと良いでしょう。
(本稿はコロナ禍前に本紙に掲載されたものです)

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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