高齢者のための情報サイト【日本老友新聞】

老友新聞
ルーペ

医療と健康

2021年01月26日

骨と筋肉の健康 ~健康寿命を延ばすために~

2019年における日本人の平均寿命は男性81.41年、女性87.45年であり、年々伸びています。平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が平均で何年生きられるかを予測した期待値です(0歳平均余命)。80歳男性の残りの寿命が、あと平均1.41年というわけではありません。80歳男性の平均余命は9.18年と算出されています。80歳以上の平均余命年数を見ると、「人生100年時代」と言われる理由がわかります(表1)。

表1 平均寿命より長い人生!!

近年は、平均寿命よりも「健康寿命」を延ばすことが重要との認識が高まってきました。健康寿命とは、「介護を受けたり、寝たきりになったりせずに生活できる期間」のことです。2016年の日本人の健康寿命は男性72.14年、女性74.79年で、平均寿命がそれぞれ男性80.98年、女性87.14年でしたので、単純に計算すると、男性8.84年、女性12.35年の間、何らかの介護を受けて生活することを示唆しています(図1)。健康寿命を延ばして、平均寿命と健康寿命の差を縮めていくことこそ、私たちが望んでいることです。

図1 日本人の健康寿命(2016年)

多くの中高年の方々は、心筋梗塞や脳梗塞の基礎疾患となる肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの予防や治療を通じて健康維持に努めています。しかし、さらに高齢になると、食事量および運動量の減少などによって骨や筋肉の衰えが進行し、高齢者特有の骨粗しょう症やサルコペニアを発症しやすくなります。したがって、骨や筋肉の老化を予防することも健康寿命の延伸には不可欠です。ここでは、骨粗しょう症やサルコペニアの発症要因および栄養面からの予防について、その一端をご紹介します。

骨粗しょう症は、骨強度が低下することにより、骨折のリスクが高まる疾患です。加齢と遺伝的素因のほか、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、慢性腎臓病、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)、脳血管疾患(脳梗塞、脳内出血など)が発症要因となるため、生活習慣を改善することや適切な治療を行うことが重要です。栄養面では、骨強度の維持に必要なカルシウムの摂取量を増やすとともに、カルシウムの吸収を促進するビタミンDも摂取することが重要です。ビタミンDは適度な日光浴により体内で合成されますが、外出の機会が比較的少ない高齢者は日光浴不足になりやすいため、カルシウム源となる食品やビタミンDを含む魚類やシイタケなどのキノコ類を摂取することが大切です。また、骨へのカルシウム沈着促進作用を有するビタミンKを豊富に含む納豆や緑黄色野菜も積極的に摂取することが望まれます(表2)。

表2 骨粗しょう症の予防効果のある食品


サルコペニアは、加齢性筋肉減少症と呼ばれ、握力や下肢筋・体幹筋などの全身の筋力低下、杖や手すりが必要になる等の身体機能の低下が起こる疾病です。加齢、呼吸器疾患、循環器疾患、癌、身体活動の低下、栄養の不足・吸収不良などが要因として挙げられます。筋肉はタンパク質によって構成されているため、筋力低下を予防するには、筋肉の構成成分となるタンパク質(20種類のアミノ酸から構成される)を不足なく摂取することと、適度な運動によって筋肉を刺激することが必要です。特に、筋肉量を維持する役割を担っているロイシン、イソロイシン、バリンなどの分岐鎖アミノ酸(BCAA:Branched Chain Amino Acid)を積極的に摂取することが望まれます。BCAAが比較的多く含まれる食品には、大豆食品(とうふなど)、肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)、魚類(サンマ、マグロなど)および乳製品(牛乳、チーズなど)があり、これらを毎日しっかり摂取して、自分にとって無理のない運動を行うことが大切です。

健康寿命の延伸には健康な骨と筋肉を維持することが不可欠です。必要な栄養をバランスよく摂り、運動不足の方は1日30分程度の散歩から徐々に始めてはいかがでしょうか。

樋口敏幸教授
  • 樋口 敏幸 教授
  • 日本薬科大学 大学院薬学研究科・薬学部薬学科 教授、博士(薬学)
  • 内臓脂肪蓄積関連疾患による炎症・易血栓の機序解析と制御に関する研究や脂肪肝の抑制を指向した脂質代謝関連遺伝子の発現・機能調節に関する研究を行っています。
  • 日本薬科大学 公式サイト
    https://www.nichiyaku.ac.jp/

この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。

高齢者に忍び寄るフレイル問題 特集ページ

健康への不安や悩みはありませんか?

健康にまつわるご相談を募集しております。医療法人社団同友会理事長がわかりやすくお答えをいたします。

読者投稿の募集はこちら


トップへ戻る ホームへ戻る