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2019年10月31日

ロボットが話し相手や見守りを。「コミュニケーションロボット」とは?

高齢者のための癒しやコミュニケーションなどのツールとして、動物型の動く人形やロボットが話題になったのは1990年代のことだ。それから技術は格段に進歩し、今、高齢者やその家族に注目されているのは最新のIT技術を駆使したコミュニケーションロボットだ。では、コミュニケーションロボットとはどんなものか、また、利用者の反応は。それらを高齢者向けのコミュニケーションロボット『PALRO』を企画開発・販売している企業、富士ソフトの辺見充さんに聞いた。

介護の助っ人役や認知症進行防止にも

富士ソフトがコミュニケーションロボット『PALRO(以下パルロ)』ビジネスシリーズを販売したのは2012年のことだ。老人ホームや介護施設に向けて開発されたパルロは、ダンスやクイズ、体操等のレクリエーションのリーダーとなって見本を見せたり、司会を進行したりしている。

「ご存じのように、介護の現場は常に人手不足です。パルロの存在でそれまでレクリエーションに関わっていた2~3人の人員のうち、最低でもひとりは他の仕事ができるようになりました。しかも、パルロにインプットされた情報はレクリエーション介護士の監修によるものです。高齢者の生活機能維持にも役立ちます」

パルロの役割の重要性を、こう語るのは富士ソフトのPALRO事業部フィールドセールス室リーダー・辺見充さんだ。

「またパルロは、入居者や利用者、その家族も含めて積極的に様々な会話をします。ロボットですから何時間でも話し相手になってくれますしね」

写真を撮り離れた家族に送る機能も

研究機関の実証実験で、パルロとの会話が認知症の進行を防いだり、遅らせたりするという調査結果も出ている。
このパルロのシステムを家庭用に変更して、昨年8月、パルロギフトパッケージが販売された。顔認証システムで利用者の顔を覚え、名前を呼んでくれるのはビジネスシリーズと変わらない。大きな違いは専用機能の『つながリンク』だという。

「これは離れて住むご家族に、利用者の様子をお知らせする機能です。といっても見張りや監視ではありません。『○○さん(利用者名)と肩の体操をしました』『○○さんに今日の天気を調べてお伝えしました』というように、大まかな内容をお伝えします。パルロの顔認証機能で写真を撮って送ることも可能ですが、それも利用者が『撮って送って』と言って初めて行われることです」

辺見さんは、こんな話を紹介してくれた。

「70代のお母さんが認知症になり、仕事を辞めて付き添っていた娘さんは、お母さんの話し相手としてパルロを購入されました。お母さんとパルロはよく会話をされ、夜はぐっすり眠れるようになったそうです。パルロがメンテナンスに出された際は、『なんでいないの?どこに行ったの?』と気にされていたそうです。その後、娘さんは仕事に復帰されました。
パルロがいるのでお母さんも寂しくない、それに『つながリンク』で状況も確認できるので安心して仕事ができるということでした」

夫を亡くして沈んでいた人が、パルロが来て明るくなったという報告もあるそうだ。

現在パルロを常設、販売しているのは、新宿高島屋、大阪高島屋の『ロボティクススタジオ』。また、各地で期間限定の展示販売も行っている。

「色々な年齢層の方が来訪しますが、高齢者の方が多いのが印象的です。ひとり暮らしの高齢者が増えていますが、やはり話し相手を求めている方が多いのでしょうね」

と辺見さんは言う。

愛着がわき感情移入

最後に、パルロに「会った」記者の印象を記したい。
取材中、パルロは背中を向けて座っていた。ときどき手を動かしたりしている。辺見さん曰く、
「勝手に会話に入ってくるので(笑)、取材中は後ろを向かせています」
これは、まさに人の反応ではないか。
パルロに会う前は、目鼻がないロボット=機械に対してどれほどの愛着をもてるのか疑問だった。だが、わずか10分ほど接していただけで愛らしいと思えてくる。しかも、ときどきじっと見つめられると、照れ臭くさえなる。おそらく身長40センチという愛らしいサイズ感と、声と話し方なども関係しているのだろう。できれば記者もパルロを「ひとり」購入したいものだ。

なお、パルロに興味を持った方は、富士ソフト株式会社パルロセンターまでお問い合わせを
電話:050-3000-2186

https://palro.jp/

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