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2020年11月02日

廃業に追い込まれる日本の伝統文化産業。失われると取り返しのつかない技術を守るには…

新型コロナウイルスの影響で、廃業する企業が増えている。

 

東京商工リサーチの調べでは、今年1〜8月に全国で廃業・解散した企業は3万5816件。前年に比べ23.9%増で、このままのペースが続くと年間5万3000件を突破するという。

こうした状況下、日本文化を支える伝統工芸産業が経営の危機に直面しているといわれる

 

東京・八王子市にある三味線メーカーの「東京和楽器」は明治18年の創業。歌舞伎や文楽など演奏家たちが使う三味線を、13人の職人さんたちが製造・修理している。国内のシェアは50%を超える。

ところが、コロナウイルスの感染拡大で公演・演奏会が軒並み中止となった。4~5月は新規注文や修理の依頼がほぼなくなり、経営者の大滝勝弘さん(80歳)は

「このままでは廃業するしかない」

と考えた。そのことを知った取引先から相次いで注文が入り、廃業は先延ばしにして注文対応に当たった。

一人前の三味線職人になるには最低でも10年かかるといわれる。織物・染色、陶磁器・漆器、彫金・彫刻など職人が長年培った伝統技術は、いったん失われると一朝一夕では取り返しがつかない。しかもこうした企業は規模は小さいが100年以上続くところが珍しくなく、コロナ以前から職人の高齢化、後継者難など厳しい現実を抱えるところが多い。

しかし、地域産業の柱として地方経済に及ぼす存在感は大きい。国・地方団体も「支援補助金制度」などでサポートしている。

外国人観光客の訪日目的の一つが「日本の伝統文化」である。インバウンド需要を支え、伝統文化の担い手を絶やさないためにも、よりきめ細やかな支えが必要ではないだろうか。

 

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