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2016年10月27日

「寺子屋教育の今昔」子供の手本となる大人 連載7

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江戸では、大人や先輩のすることを見様見真似で体得し、知識と頭で理解させるだけでなく、身体で覚えさせるように学習していたようです。

江戸の教えで更に重要なのは「寺子屋」でしょう。儒学伝習所とも言われ、豪商が子弟のためにお金を出し合い、先生を雇った公的な塾の様な所で「読み、書き、そろばん」や「見る、聞く、話す」事に重点を置いた教育を行い、それだけに留まらず「自発」を促す養育の場所でありました。

当時の寺子屋の入学式は旧暦の暑い盛り。父兄同伴で一刻(いっとき=2時間)先生の話を、居眠りをしてでもじっと聞くというものだったそうですが……。

当時の試験は、大人の私達でも大変難易度が高いものだったように思います。そして今の教育と大きく違うのは、想像力を駆使して大人の真似をしながら学ぶという事です。誰かの足を踏めば、踏まれた方は痛いだろう。病気の人は辛いだろう。人を騙したとき、騙された人の心や、騙した自分の心を想像するなど、そんな訓練を重ねて、相手の気持ちや自分の心を推し量り、どうしたらお互い良い人間関係になれるのかを考え、学んだところです。その手本となるのは、最も身近な親、先生、そして世間の大人です。大人を真似て見る、聞く、話す事から、考え方、表情、身ぶり、言葉つきを身に付けていく。これが寺子屋であり、学ぶ江戸しぐさでもありました。人の痛みが理解できてこそ、江戸では一人前の大人なのです。

偏差値教育の現代とは大きく異なり、森羅万象に、適切に身体的対応をする学問でもありました。そんな「寺子屋」を真似て、この夏休みに「寺子屋キッズ」を開く機会に恵まれました。日本の夏の伝統行事である「祭り」を通して、その意味を理解し、先祖、両親、そして今生きている事に感謝をし、ありがとうの気持ちを伝えることがテーマです。三歳から十二歳を対象に行う中、キラキラと輝く子供達の素直さと吸収力に触れることができました。核家族が多く、親子関係も希薄になりがちになってしまった今こそ、時代は変われど、寺子屋スタイルの重要性を痛感しました。そして江戸の大人達が、人の手本となるべく商人道に励んだように、今の私達はそれ以上に、恥ずかしくない心得としぐさで胸を張り、お天とう様に正面から向き合える様、歩んでいきたいと実感しました。今回の「寺子屋」は、私にとっても人生指南所でありました。(老友新聞社)

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酒井 悦子
  • 伝統芸能コーディネーター
  • 筝曲演奏家

幼少より生田流箏曲を学び、現在は国際的に活躍する箏演奏家。

箏の修行と同時に、美術骨董に興味を持ち、古物商の看板も得る

香道、煎茶道、弓道、礼法などの稽古に精進する一方で、江戸文化の研究に励み、楽しく解りやすくをモットーに江戸の人々の活き活きとした様子と、古き良き日本人の心を伝えている。

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