高齢者のための情報サイト【日本老友新聞】

老友新聞
ルーペ

コラム

玉木正之のスポーツ博覧会

玉木正之のスポーツ博覧会

2019年11月19日

商業主義オリンピックが黒字にならないのはオカシイ?

 来年の東京オリンピックの開幕まで1年を切った。
 最近の五輪は、スポンサー企業の商品を購入して観戦チケットを手に入れたり、聖火ランナーに立候補できるなど、「商業主義」による運営が当たり前に行われている。
 この商業主義は1984年のロサンゼルス五輪から始まったのだが、事情は現在と大きく違っていた。
 76年のモントリオール大会が、現在の貨幣価値で1兆円を超す赤字を出した(その完済には30年もかかった)。それで84年大会の開催に立候補する都市はロス以外になくなり、ロスも「税金をまったく使わない」と宣言して開催に漕ぎ着け、組織委員会会長に就任した43歳のピーター・ユベロスは、前例のない「商業主義」を取り入れたのだった。
 スポンサー企業は1業種1社に限り、入札時の競争から高額の協賛料(約1億2千万ドル)を獲得。放送権料もモスクワ大会(約8千8百万ドル)の3倍以上(約2億9千万ドル)に引きあげ、記念コインの発行収入(約3千万ドル)や入場料収入(約1億4千万ドル)などを獲得する一方、既存の施設の利用等で経費を節減。モントリオールやモスクワ両大会の支出(約14億ドル)を大きく下回り(約5億3千万ドル)、黒字運営に成功。
 聖火リレーも1キロ千ドル(当時のレートで約69万円)で売り出し、「聖火も商売に」との非難も出たが、誰でも千ドルで走れるという意味では公平なやり方と言え、聖火リレーの収入約1千2百万ドルは全額慈善団体に寄付。運営費の黒字も米国のスポーツ団体などに回された。
 現在の五輪は、このロス方式をIOC(国際オリンピック委員会)が真似た「商業主義」と言えるが、黒字どころか赤字だけが騒がれるのは、誰が儲けているのかな?

この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。

玉木 正之
  • スポーツライター 音楽評論家 小説家

新聞や雑誌で執筆・評論活動を展開するほか、TV・ラジオ番組に多数出演。主著に『スポーツ解体新書』『不思議の国の野球』『オペラ道場入門』他多数。

日本老友新聞・新聞購読のお申込み
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
  • 人気記事ランキング

  • トップへ戻る ホームへ戻る