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コラム

2020年05月18日

時代とともに変わってゆく「家族」。それをテーマとした作品を撮り続ける是枝監督とのご縁。

是枝裕和監督が、次回作でカトリーヌ・ドヌーヴと組むというビッグニュース。
是枝監督は、『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞して、今話題の人だ。彼はいろんな家族を取り上げ、さまざまな家族のありようを追及している。
実は、私は是枝作品に出演させてもらった縁で、彼の作品はずっと見させてもらっている。

宮本輝原作『幻の光』。
江角マキコさんのデビュー作で、江角さんに再婚の世話をする、世話焼きおばさんの役だった。
原作者の宮本さんは
「市田さんにぴったりだった」
と言ってくれた。
大阪の下町が舞台で、長いショットだった。とにかく、家族をテーマにした美しい作品だった。
この作品がベネチア国際映画祭に出品されることになり、あれよあれよという間に私のベネチア行きが決まった。1995年。23年も前の事だ。
初監督ながら、この作品はコンペティション部門の出品作に選ばれた。

その頃の私は、緑茶のCMで超多忙だったが、記念に松竹梅のきものを新しく染めてベネチアへ向かった。
その後『誰も知らない』『そして父になる』など、家族が彼のテーマだ。
家族は「ひとつ」と思いたいけど、多様な家族がそれぞれの運命を持って、寄り添って生きているのだ。
出産のときに赤ちゃんを取り違えられた人や、『誰も知らない』では親に捨てられた他人の子供たちが家族を作っていく。しかし実は家族とは言えない。核になる親がいないからだ。
子どもにとって親の存在は大きい。『万引き家族』は血の繋がらない人間達が寄り添って生きるうちに、不思議な絆を作っていく話だ。
是枝監督は、家族という大きなテーマのありようを、不思議な変化で紡いでいく。
私は、是枝作品にご縁があったおかげで、今も尚、是枝作品のファンだ。

半世紀も前だが、私も女優だったので、映画の黄金期を知っているし、今、経済的にも映画作りのむつかしさも知っている。
今回『万引き家族』がカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、是枝監督は文字通り現代の映像作家の第一人者となった。

家族というもののありようは、大きく変わってきた。回想話になるけれど、門限なんてわずか少数の家にはあるかもしれないが、かつては女の子が夜中まで外出するなど考えられなかった。
それと、クリスマスにはブランド品のプレゼント。これが結構なお値段で、サラリーマンの男子はささやかなプレゼントで済ますことが出来なくなった。
昔、私も真珠のネックレスをもらったことがある。母に叱られるだろうと思って報告したら、案の定
「返してきなさい」
と叱られた。無闇に男性から高価なものをもらってはいけないということだ。
こんな時、今の若者はどうするのだろうか?

今、質屋さんに行くと、ブランドのバッグやアクセサリーがずらずらー!!
プレゼントされたものはすぐに質屋に持っていかれるのだ。
プレゼントした男性は、クリスマスには良い恰好もできず、幻をみてサンタクロースの役を演じるのだ。
家族は娘のライフスタイルを掴めないでいるのだろう。
自分の力と努力で生きている女子には拍手を贈りたいが、自力で生きるにはそれなりの生き方をしてほしいものだ。

(本稿は老友新聞本紙2018年9月号に掲載した当時のものです)

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市田 ひろみ
  • 服飾評論家

重役秘書としてのOLをスタートに女優、美容師などを経て、現在は服飾評論家、エッセイスト、日本和装師会会長を務める。

書家としても活躍。講演会で日本中を駆けめぐるかたわら、世界の民族衣装を求めて膨大なコレクションを持ち、日本各地で展覧会を催す。

テレビCMの〝お茶のおばさん〟としても親しまれACC全日本CMフェスティバル賞を受賞。二〇〇一年厚生労働大臣より着付技術において「卓越技能者表彰」を授章。

二〇〇八年七月、G8洞爺湖サミット配偶者プログラムでは詩書と源氏物語を語り、十二単の着付を披露する。

現在、京都市観光協会副会長を務める。

テレビ朝日「京都迷宮案内」で女将役、NHK「おしゃれ工房」などテレビ出演多数。

著書多数。講演活動で活躍。海外文化交流も一〇六都市におよぶ。

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