老友新聞2025年5月号に掲載された川柳入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天　位

梅の香に犬も散歩の足止める

王田　佗介

風流な飼い主に犬も同調するとは、実に微笑ましい場面ですね。鼻が利くだけに、ワンちゃんも春の香りを楽しんでいるのが想像されます。

地　位

パチンコ屋遊ぶ積りが遊ばれて

下田　尚保

娯楽は自分が遊ぶためのもののはず。それが、つい熱くなり、気付いたらとんだ散財に。ギャンブルの危険性に身をもって警鐘を鳴らす一句ですね。

人　位

古時計昔話が止まらない

森井　睦子

かつて使っていた古時計には、当時の思い出を次々と思い起こす起爆剤の要素が。昔話に花を咲かせる楽しさがしっかり伝わって来ますね。

五　客

嘘つきが権力手にし世は末に

佐野　磯雄

政治でもビジネスでも趣味の世界でも、権力者が嘘を平気でつくようであれば、お先真っ暗に。危機感の発露、切実ですね。

親子共戦を知らぬ幸せよ

岡本　政子

世界には戦乱に明け暮れる地域がある中、親子二世代が戦争を体験していないことの大切さに目を向ける視点が光ります。

卒寿過ぎやっと長寿の仲間入り

鈴木　曻

何歳から「長寿」なのか、基準は相対的かもしれません。八十代はまだ長生きとは言えないとは、おめでたい社会ですね。

恥ずかしい瑞穂の国で米騒動

王田　佗介

有史以来、米作りを続ける日本で、令和版「米騒動」と呼べる値段の高騰騒ぎ。これを恥じる誇り高き精神は尊いです。

不便でも免許返納健脚に

下田　尚保

運転免許を返納し、車を使わない生活。何かと不便な中、歩いて脚が丈夫になったと強がるなら、老け込まないでしょう。