コラム

三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!
第46回「風鈴」

梅雨どっか行っちゃいましたね。
雨が降ってもなんだかスコールみたいな感じで梅雨らしいシトシトとした雨では無く。
もうこのまま夏になるのでしょう。
今の家に引っ越してからちょっと気になってることがあります。
近くのおたくの風鈴の音です。
風流なわりに無精なのか去年の10月に引っ越した時、まだ風鈴が鳴っていて。
まぁ暑かったけども。
11月中頃に片付けられ音がしなくなりました。
そして夏到来。
やってきました、風鈴が。
ただ、その、結構うるさいんですよね、風鈴。
昔の家屋だったら縁側にぶら下げて、夜になったら雨戸をしめるので鳴らなかったと思うのですが、ベランダにずっとぶら下がってるため、風の強い晩は一晩中鳴ってます。
騒音、という程ではないですが、ちょっと気になるというか…
落語家として風鈴という風流な代物にクレームつけるのもなんか違う気もするし…
除夜の鐘に文句言う人みたいで野暮だし…
ただ調べたら集合住宅の多い都会ではそこそこ風鈴の音は問題になってるとか。
でも【時そば】にも出てきますが江戸時代はそば屋さんが風鈴をつけて屋台で一晩中売り歩いてたわけですから、かえって江戸的というべきなのでしょうか。
いや、そうでもないですね。
屋台ならそのうちどこか行きますが、うちは真横でずっと鳴ってるわけですし。
まぁ僕は小心者なのでケンカするわけでもなく「ずっと鳴ってるな〜」と思いながら過ごすのでしょう。
考えてみると江戸っ子たちもご近所トラブルをどう対処していたのでしょうか。
今みたいに庶民でも持ち家があるなんてことはないですから町人は基本みんな賃貸住宅の長屋住まい。
荷物も少ないですし、ライフステージの変化などで結構引っ越ししてたんじゃないかな、と想像します。
今の東京みたいに敷金、礼金をべらぼうに取られるということもないでしょうし、まず家電とかないですからね。
葛飾北斎にいたっては93回引っ越してますから、そこまでハードルが高くなかったんでしょう。
にしてもやりすぎですが。
きっと隣の風鈴が気に食わないとかの小さい理由で北斎も引っ越したはずです。
それぐらいライトな理由でやれる人じゃないと93回は無理でしょう。
とは言えその日暮らしの江戸っ子にそんな頻繁に引っ越すようなまとまったお金はないでしょうし、壁の薄い長屋暮らしが当たり前の時代です。
プライバシーなんてものは無いですから、多少の不便があっても我慢しつつお互い様で生きていったのでしょう。
隣の風鈴も長屋暮らしで生活音が筒抜けだと思えば、やり過ごせないこともない気がしてきました。
思えば他人に自分の要求を求めすぎな現代社会、僕もみんなも肩の力を抜いて生きてもいいのではと思います。
いい加減は良い加減だ、とうちの師匠も言ってました。
と思います。
はい、いい加減ですみません!
※写真は先日、地下鉄に乗ってて表示された誰かのWi-Fi。
香害が問題になってるとは聞いてますが、さすがに怖い…
お知らせ
三遊亭ぽん太独演会
看板のぽん!その二
日時:7月20日(日)19時開演(18時半開場)
会場:ティアラこうとう小ホール
料金:2000円、29歳以外割1500円
予約:pontathe2nd@gmail.com
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- 三遊亭ぽん太
- 落語家
- 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
- ぽん太さんのHP
https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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